P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

読書

「日本SF誕生 空想と科学の作家たち」

豊田有恒著、勉誠出版 bensei.jp 日本SF作家第一世代というと、小松左京、筒井康隆、星新一、平井和正、眉村卓、半村良、光瀬龍などなどの名前が上がりますが、さすがにその登場の時期から5~60年も経つために残念ながら亡くなられてしまった方々がほとん…

「日本エロ本全史」

安田理央著 太田出版 www.ohtabooks.com タイトルにエロ本とありますが、実際には戦後すぐの1946年「りべらる」から2018年の「FANZA」までのエロ雑誌100誌*1について、その創刊号と簡単な歴史の紹介が書かれた本です。「戦後エロ雑誌全史」という方がより正…

「町山智浩・春日太一の日本映画講義 戦争・パニック映画編」

タイトルにある映画評論家(兼アメリカ紹介者?)町山智浩さんと時代劇研究者の春日太一さん二人による日本映画、特に戦争映画、パニック映画についての対談を一冊の本にまとめたもの。面白い。www.kawade.co.jpなかでメインに取り上げられている作品*1につ…

「ブレードランナー証言録」

ブレードランナー2049の公開前くらいに行われた関係者へのインタビューに更に追加した4人の関係者へのインタビュー集。 www.shueisha-int.co.jp集英社のインターナショナル文庫とかいう新書の一冊で、簡単に読める薄い本。インタビューを受けているのは 「ブ…

「最初の接触 伊藤典夫翻訳SF傑作選」

「伊藤典夫翻訳SF傑作選 最初の接触」を読みました。 www.hayakawa-online.co.jp タイトル通り、伊藤典夫さんがSFマガジンに訳された短編を集めたもの。収録作はもともと50年代発表(表題作だけ40年代)で翻訳は60年代のものばかりですが、翻訳については女…

レイモンド・チャンドラーのSFによるグーグルの発明、そしてディレンマ

時代が進んでも、変わらないものはあるのだなぁって話。1964年に出たジェームズ・ブリッシュのSF評論集 The Issue at HandThe Issue At Hand (English Edition)作者: James Blish出版社/メーカー: Gateway発売日: 2014/08/28メディア: Kindle版この商品を含…

歩むべきGlory Roadはどこにあるのか?ハインライン「栄光の道」

好きなSF作家はと問われればハインラインと答える事にしているわたくしでございますが、数あるハインライン作品の中で特にどれと問われれば、長編ならば「栄光の道」を挙げる事にしています*1。ハインラインの有名作といえば、「宇宙の戦士」、「月は無慈悲…

「文芸の本棚 久生十蘭」 

久生十蘭という作家さんをご存知ですか?読書家の方ならご存じなんでしょうが昭和30年くらいまで活躍されていた作家さんで、検索すると「博覧強記と卓越した文章技巧を以て数々の傑作を世に残し、「小説の魔術師」の異称をもつ作家」といった称賛の言葉が色…

ミシェル・ウェルベック「服従」、あるいはぶっちゃけ、男なんて持ち上げられてセックスできたらなんでも良いんじゃないの?

数年前に話題になったウエルベックの「服従」を今頃読みました。www.kawade.co.jp「仏大統領選で激震!!」と帯にあり、「世界の激動を予言したベストセラー」とも書かれている本であります。内容が2022年の大統領選で極右政党への対抗策として左派政党とイ…

「筒井康隆 日本文学の大スタア」

日本SF第一世代の一人にして、現在では「日本文学」のスタアとなった筒井康隆を特集した本。 www.kawade.co.jp ぶっちゃけ、「日本文学」に寄るほど個人的な興味は薄れるわけだが、それでも完全に興味が無くなるところまでの「日本文学」にはならないのが筒…

Unhinged: トランプの補佐官だった黒人女性によるトランプ政権暴露本

ドナルド・トランプのリアリティショー The Apprentice の出演者としてトランプと関わりはじめ、トランプ陣営の一員として選挙にも関わり、トランプ政権で数少ない非白人男性の一人として大統領補佐官の一員ともなったアマロサ・マニゴールト・ニューマンに…

「トリフィド時代」、ゾンビ物として 

ふつう彼らはほかのグループと合流したがらず、かならずやって来るアメリカ人の到来を待つあいだ、手に入れられるものを手に入れ、避難所をできるだけ快適にしようとする傾向があった。 カーゴ・カルトか!人類社会の終わりを迎えた英国田園地帯にまだ生き延…

「スター・ウォーズはいかにして宇宙を征服したのか」

スター・ウォーズはいかにして宇宙を征服したのか作者: クリス・テイラー,児島修出版社/メーカー: パブラボ発売日: 2015/11/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るナバホ族のファンの熱意で初めてナバホ語に吹き替えられたスターウォーズEP.4…

「怪奇礼賛」

19世紀から20世紀半ばまでのイギリスの怪奇小説アンソロジー。 www.tsogen.co.jp 古い怪奇小説となると読みづらい文章をつい想像してしまいますが、これはそんな事はなくてちょっと古風な感じが味になる程度です(読みやすいとは言いませんが)。全体通して…

嫌な気分ってやつを思いだした...「海外SFハンドブック」

積読本を消化しようと、2年前に買って以来放置していたこの本に手を出してみました。 www.hayakawa-online.co.jp 早川書房の説明によると、 クラーク、ディックからイーガン、チャン、『火星の人』、SF文庫2000番のレム『ソラリス』まで! 巨匠の作品から…

「誤解するカド」、あるいは「誤解する」んじゃなくて「誤解させている」アンソロジーの事

大森望さんと、現在(2017年5月)放送中のSFアニメ「正解するカド」の脚本を書かれている作家野崎まどさん共同の「ファーストコンタクト」テーマアンソロジー、「誤解するカド」を(だいたい)読みました。 www.hayakawa-online.co.jp和洋合わせて10篇収録で…

「ゴッド・ガン」

日本SFにはいくつもの素晴らしい「タイトル」がありますが、その幾多のタイトルの中でも燦然と輝くタイトル「神狩り」は、山田正紀によるタイトル通り「神」を狩り殺そうとする人間たちの話であり、日本SF史に残るような素晴らしい書き出しから始まる作品で…

「伊藤典夫翻訳SF傑作選 ボロゴーヴはミムジイ」

伊藤典夫翻訳SF傑作選 ボロゴーヴはミムジイ (ハヤカワ文庫SF)作者: ルイス・パジェット,レイモンド・F・ジョーンズ,フレデリック・ポール,ヘンリー・カットナー,フリッツ・ライバー,デイヴィッド・I・マッスン,ジョン・ブラナー,高橋良平,網中いづる,伊藤典…

ハーラン・エリスン 「死の鳥」

帯の文句が「華麗なるSF界のレジェンド、再臨!」とあるハーラン・エリスンの日本オリジナル短編集。死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)作者: ハーラン・エリスン,伊藤典夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/08/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見…

「消えたヤルタ密約緊急電」

消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い (新潮選書)作者: 岡部伸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (13件) を見る本屋の棚に積まれていたのが目についたので読んでみまし…

デーモン・ナイト:In Search of Wonder

SF作家・批評家のデーモン・ナイトによるSF批評やエッセイをまとめた本の第三版(1996年)をキンドル化したものです(、多分)。In Search of Wonder: Essays on Modern Science Fiction (English Edition)作者: Damon Knight出版社/メーカー: Gateway発売日: 2…

「神曲ができるまで」

井上ヨシマサというとAKB48グループの色々な曲の作・編曲を手掛けている作曲家さんですが、実は80年代から活躍していた方だったそうです。この本はその自伝です。神曲ができるまで作者: 井上ヨシマサ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2015/08/21メディア: 新…

"Rule Golden" (黄金律) デーモン・ナイト

デーモン・ナイトの1954年の傑作!だと思うのですが、残念ながらあまり有名ではない作品です。でも傑作なんですよ。 初読がいつだったか正確には思い出せませんが、とにかく90年代に古本屋で買ったSF戦争10のスタイル (講談社文庫)作者: ジョー・ホールドマ…

『前田敦子の映画手帖』

元AKB48のセンターで、いまは女優である前田敦子によるアエラでの映画の感想の連載をまとめた書籍です。前田敦子の映画手帖作者: 前田敦子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2015/04/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るまっ、正直に言…

「恐怖の作法 ホラー映画の技術」

Jホラー映画における「小中理論」の小中千昭さんによる新刊。恐怖の作法: ホラー映画の技術作者: 小中千昭出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2014/05/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る単に人が殺されるだけのショックはあっても怖…

「戦前日本SF映画創世記 ゴジラは何でできているか」

戦前日本SF映画創世記: ゴジラは何でできているか作者: 高槻真樹出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2014/03/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る戦後長く、現代へと続く漫画の歴史がいきなり手塚治虫から始まったかのような通説が支配…

伊坂幸太郎 「マリアビートル」 

Kindle版が安かったので買ってみた伊坂幸太郎「マリアビートル」の感想。マリアビートル (角川文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2013/10/09メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る

「凶悪−ある死刑囚の告白―」

凶悪―ある死刑囚の告発―出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/07/05メディア: Kindle版この商品を含むブログ (5件) を見るサブタイトルそのままに、刑務所に収監されていた死刑囚から世間に知られていない3つの殺人事件についての告白をうけたジャーナリスト…

どくしょかんそうぶん:「クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X」

「クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X」を読んだので、感想を書いとく。 ちょっと前の「這いよれ!ニャル子さん」によるプチ・クトゥルフ神話ブームを受けて出たのかな?と邪推。 ただラブクラフト御大の作品は一作だけ。 代わりに、頼るのにアニメ一…

高慢と偏見、ゾンビ!

日本では洋書の古典文学の再翻訳版が出る事がありますよね。日本語って変化がものすごく激しいから、村上春樹も言ってるように、翻訳にはたしかに賞味期限があります。昔の翻訳はほんの数十年前のものでもどうにも読みにくい(しかもこれがプロの翻訳家とか…