P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

SF

「ターミネーター ニューフェイト」

面白かったです。そして、リンダ・ハミルトンさん、すいません。この映画、観る前は劇中のリンダ・ハミルトンはキツイのではと思ってたんですよね。 映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』本予告【新たな運命編】11月8日(金)公開 監督ティム・ミラ…

「日本SF誕生 空想と科学の作家たち」

豊田有恒著、勉誠出版 bensei.jp 日本SF作家第一世代というと、小松左京、筒井康隆、星新一、平井和正、眉村卓、半村良、光瀬龍などなどの名前が上がりますが、さすがにその登場の時期から5~60年も経つために残念ながら亡くなられてしまった方々がほとん…

「ジェミニマン」

情報に間違いがありましたので修正、かつ太字部分を追加。『ジェミニマン』本予告宇多丸さんのおすすめに従いMovixさいたまでのハイフレームレート3Dで鑑賞。政府の殺し屋だった主人公が陰謀に巻き込まれて政府なりその他の悪の組織に襲われるが色々ぶっ殺…

「ブレードランナー証言録」

ブレードランナー2049の公開前くらいに行われた関係者へのインタビューに更に追加した4人の関係者へのインタビュー集。 www.shueisha-int.co.jp集英社のインターナショナル文庫とかいう新書の一冊で、簡単に読める薄い本。インタビューを受けているのは 「ブ…

「最初の接触 伊藤典夫翻訳SF傑作選」

「伊藤典夫翻訳SF傑作選 最初の接触」を読みました。 www.hayakawa-online.co.jp タイトル通り、伊藤典夫さんがSFマガジンに訳された短編を集めたもの。収録作はもともと50年代発表(表題作だけ40年代)で翻訳は60年代のものばかりですが、翻訳については女…

レイモンド・チャンドラーのSFによるグーグルの発明、そしてディレンマ

時代が進んでも、変わらないものはあるのだなぁって話。1964年に出たジェームズ・ブリッシュのSF評論集 The Issue at HandThe Issue At Hand (English Edition)作者: James Blish出版社/メーカー: Gateway発売日: 2014/08/28メディア: Kindle版この商品を含…

歩むべきGlory Roadはどこにあるのか?ハインライン「栄光の道」

好きなSF作家はと問われればハインラインと答える事にしているわたくしでございますが、数あるハインライン作品の中で特にどれと問われれば、長編ならば「栄光の道」を挙げる事にしています*1。ハインラインの有名作といえば、「宇宙の戦士」、「月は無慈悲…

「筒井康隆 日本文学の大スタア」

日本SF第一世代の一人にして、現在では「日本文学」のスタアとなった筒井康隆を特集した本。 www.kawade.co.jp ぶっちゃけ、「日本文学」に寄るほど個人的な興味は薄れるわけだが、それでも完全に興味が無くなるところまでの「日本文学」にはならないのが筒…

「トリフィド時代」、ゾンビ物として 

ふつう彼らはほかのグループと合流したがらず、かならずやって来るアメリカ人の到来を待つあいだ、手に入れられるものを手に入れ、避難所をできるだけ快適にしようとする傾向があった。 カーゴ・カルトか!人類社会の終わりを迎えた英国田園地帯にまだ生き延…

ソヴィエト・ファンタスチカの歴史

「ソヴィエト・ファンタスティカの歴史」というタイトルを見て、何を想像するか? 頭の片隅にロシア語でファンタスティカはSFを含む幻想文学の意味という記憶がありましたので*1、私はソビエト時代のSF史なんだと理解しました。ソヴィエト・ファンタスチカの…

嫌な気分ってやつを思いだした...「海外SFハンドブック」

積読本を消化しようと、2年前に買って以来放置していたこの本に手を出してみました。 www.hayakawa-online.co.jp 早川書房の説明によると、 クラーク、ディックからイーガン、チャン、『火星の人』、SF文庫2000番のレム『ソラリス』まで! 巨匠の作品から…

「誤解するカド」、あるいは「誤解する」んじゃなくて「誤解させている」アンソロジーの事

大森望さんと、現在(2017年5月)放送中のSFアニメ「正解するカド」の脚本を書かれている作家野崎まどさん共同の「ファーストコンタクト」テーマアンソロジー、「誤解するカド」を(だいたい)読みました。 www.hayakawa-online.co.jp和洋合わせて10篇収録で…

「ゴッド・ガン」

日本SFにはいくつもの素晴らしい「タイトル」がありますが、その幾多のタイトルの中でも燦然と輝くタイトル「神狩り」は、山田正紀によるタイトル通り「神」を狩り殺そうとする人間たちの話であり、日本SF史に残るような素晴らしい書き出しから始まる作品で…

「伊藤典夫翻訳SF傑作選 ボロゴーヴはミムジイ」

伊藤典夫翻訳SF傑作選 ボロゴーヴはミムジイ (ハヤカワ文庫SF)作者: ルイス・パジェット,レイモンド・F・ジョーンズ,フレデリック・ポール,ヘンリー・カットナー,フリッツ・ライバー,デイヴィッド・I・マッスン,ジョン・ブラナー,高橋良平,網中いづる,伊藤典…

ハーラン・エリスン 「死の鳥」

帯の文句が「華麗なるSF界のレジェンド、再臨!」とあるハーラン・エリスンの日本オリジナル短編集。死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)作者: ハーラン・エリスン,伊藤典夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/08/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見…

「アイ・アム・ア・ヒーロー」と「太陽」、あるいは邦画、面白いって!

しばらく前に、海外で日本映画を配給しているイギリス人の方による 「日本映画のレベルは本当に低い。最近すごく嫌いになってきたよ!」 という発言がちょっと話題になってました。 www.sankei.com 最近の日本映画がつまらないので面白い邦画のプロデュース…

デーモン・ナイト:In Search of Wonder

SF作家・批評家のデーモン・ナイトによるSF批評やエッセイをまとめた本の第三版(1996年)をキンドル化したものです(、多分)。In Search of Wonder: Essays on Modern Science Fiction (English Edition)作者: Damon Knight出版社/メーカー: Gateway発売日: 2…

"Rule Golden" (黄金律) デーモン・ナイト

デーモン・ナイトの1954年の傑作!だと思うのですが、残念ながらあまり有名ではない作品です。でも傑作なんですよ。 初読がいつだったか正確には思い出せませんが、とにかく90年代に古本屋で買ったSF戦争10のスタイル (講談社文庫)作者: ジョー・ホールドマ…

「エリジウム」「クロニクル」 社会と医療費と個人とSF、あるいはあまり映画評ではない感想

アメリカでは今(2013年10月6日現在)、オバマケアの存続を巡って連邦政府の一部閉鎖が起こっています。「オバマケア」とはオバマ大統領によって進められたアメリカでの国民皆保険を目指す医療保険改革で、特にAffordable Care Actと呼ばれる法律を指した言葉…

経済学者のためのSF

なぜだか最近、SF小説お勧めリストがはてなブックマークをにぎわしてます。 読んでいてもたいして良いことはないSF名作私選十作 - 脳髄にアイスピック読んでなくてもヤバくない名作?SF小説10選 - novtan別館読んでおくと良いかも知れない名作SF小説8選 -…

クルーグマン:アシモフ「ファウンデーション」シリーズへのイントロダクション

クルーグマンが新しくでるアシモフの「ファウンデーション」シリーズへイントロダクションを寄せたそうで、それを自身のブログで公表していました。でまあ、クルーグマンもアシモフ*1もどちらも著名人なんですが、だからといってその二乗のこのイントロが日…

どくしょかんそうぶん:「クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X」

「クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X」を読んだので、感想を書いとく。 ちょっと前の「這いよれ!ニャル子さん」によるプチ・クトゥルフ神話ブームを受けて出たのかな?と邪推。 ただラブクラフト御大の作品は一作だけ。 代わりに、頼るのにアニメ一…

ポール・クルーグマン:経済学者にしてSFファン

久しぶりにクルーグマンの記事を翻訳しました。クルーグマンのネット上での翻訳はoptical Frogさん等々、うまい方が何人も訳されているので俺がやる意味はないと思っていたのですが、今回のは(ちょっとだけ)SF絡みなのでやっておくことにしました(そして…

ベスター:回想 5

長らくお待たせしましたが、って待っている人がいるのかどうか判りませんが、ベスターのエッセイ、My Affair with Science Fiction (redemolished掲載)の翻訳の5回目にして最終回です。一回目が8月3日にアップですから、これ一つ訳すのに4ヶ月かかってますね…

ベスター:回想 4

ちょっと間が空いてしまいましたが、ベスターの回想の4回目です。ついに話は「分解された男」と「虎よ、虎よ」に入ってきました。 今回の終わりの部分はかなり尻切れトンボです。正直、どうせ間も空いた事だし、もう少し時間もかかってもさらにキリの良いと…

ベスター:回想 3

ベスターのMy Affair with Science Fiction の翻訳、3回目です。今回あたりからどんどん話がSF関係になっていきます。まずは、ジョン・キャンベル!アシモフだと、なかなか話してくれないたぐいの側面です。追記:kuroseventeenさんのtwitterでのコメントを…

ベスター:回想 2

アルフレッド・ベスターの自伝的エッセイ"My Affair with Science Fiction"の翻訳の2回目です。今回は(ちょっと他のSF作家達にも触れますが)、ベスターのコミックブックの原作者時代の話がメインです。

ベスター:回想 1

アルフレッド・ベスターの短篇・エッセイ集"redemolished"というのがあるんですが、これにベスターが1975年に書いた自分のSF史の回想"My Affair with Science Fiction"が載っています。結構長文ですが、興味深いので訳してみる事にしました。ただし31ページ…

BoingBoing掲載のテッド・チャン・インタビューの、「族長の初夏」さんが翻訳された後の部分の翻訳です。主に彼の作品におけるAIについての話ですが、最後はAIではない異知性間についての話しになります(ってのは誤解させる書き方ですが、こう言ったほうが…

テッド・チャン・インタビュー 前編

ブログ「族長の初夏」さんがBoingBoingに載ったテッド・チャンのインタビューの一部を訳されてました。お、これはよい!と思い、残りの部分を訳することにしたんですが、そうするとまぁ...インタビュアーの方は全然知らないのですが、ニューエイジ(?)…