P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

Social Pressure and Voter Turnout: Evidence from a Large-Scale Field Experiment

Alan S Gerber, Donald P.Green, Christopher W.Larimer
American Political Science Review, Feb 2008, Vol.102, No.1, pp.33-48

なぜ有権者は投票するのか?これは政治経済学における大きな問題の一つだけど、その問題にたいする実証研究の一つ。ミシガンでの2006年の予備選において、 18万軒の有権者世帯を対象に実証を行なったそうだ。そのうち、8万軒に投票をそくする葉書を送っていて、一通は30セントなのだそうなんだけど、合計すると2万4千ドルにもなる。その他にも色々かかっているはずで、どこから金が出ているんだろう?と疑問。政治コンサルタント会社も関わっているようなので、そこからだろうか?
まあとにかく、研究の内容は、投票が社会規範としてあること、そしてその規範を守っていない事が他者に知られるかもという社会的プレッシャーが有権者に投票を促進させるのだということを確認するもの。投票日前に投票しろという葉書が送られてくるのだけど、その中に過去の投票記録、それも各世帯の投票記録だけでなく近所の世帯の投票記録が書かれたものがあり、さらに投票後にアップデート版を送りますとまで書かれている。そんなの送りつけられた人は、投票に行かないと近所に知られてしまうぞ!とビビって投票にいくという次第。ほんとにアップデート版を送ったのかどうかは書いてないし、投票記録とは投票したかどうかだけだけど(秘密投票だから誰に投票したかの記録があるわけはないしね)、それでもこんな実験をやってるのかと驚いた。政治学では結構一般的なんだろうか?
とにかく結論としては、このプレッシャーは大きな効果がある、費用対効果を考えれば他の投票促進手段と比べてダントツだというもの。こういうのを美味く組み込んだ理論モデルって、なんとか作れないかな、と考慮中。