P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

"This is how it feels"

Ian Creasey, Asimov's Ascience Fiction, March 2008

近未来のイギリス、免停がわりのスピード違反の罰則としてネイサンが受け入れたものは交通事故死した子供の親の記憶のインプラントだった。しかしその記憶のために日々の仕事にも支障をきたしてしまうようになったため、ネイサンは...
特にオチも驚きもなく、ネイサンの実子と自分のものではない事故死した子供の記憶とが入れ混じってしまった(といってもどっちがどっちだか分からなくなるほど混乱してしまうわけではない)男の日常を軽く書いたもの。アイデアストーリーではまったくないし、当然アクション・冒険でもない。インプラントの結果、仕事に追われていたこれまでの自分自身の生活を見つめ直すというお話。こういうのもある意味、成長物語なんだろうか?中年男性の?
こういう話ではきっと文章を味わい、また日々の生活のなかで見失ってしまった何かを実感することができたりしたらいいのだろうけど、実のところ、たとえSF的ではなくてもなにかオチはあるのかとか(お、それっぽいか?と思ったところがあったのに結局なにもなかった)、インプラントの記憶のためにネイサンはまともに運転ができなくなるのだけどそこまでいってしまうと運転事故防止のためのものが逆に事故を増やすことになるのではないかとか、色々気になってしまって、正直全然面白くなかった。
ただ、こういうほとんど普通の小説にワンポイントアイテムとしてSFが入っているだけの小説は俺の心にはこれまでも全然響いてこないことばかりだったので、単純に相性の問題なんだろうけど。