P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

A Spacial Theory of News Consumption and Electoral Competition

A Spacial Theory of News Consumption and Electoral Competition, Jimmy Chan, and Wing Suen, the Review of Economic Studies (2008) 75, 699-728

実施される政策の予測に必要な情報を有権者が有していないというのは現実的な仮定である。この場合、有権者がその情報をメディアから修得するというのもまた現実的な仮定。そうすると、有権者の投票行動にメディアが影響を及ぼすことになる。また有権者のメディア購入の決定が彼らの政策選考と政党の政治的ポジションの選択、そしてメディア自身が選択する政治的ポジションによると仮定すると、利益最大化を目指すメディアが選択する政治的ポジションは政党の選択によって影響を受けることになる。つまり、政党とメディア、双方のポジション選択は相互に影響し合うことになる。その結果としての政治的競争の均衡についての論文。メディアの政治的偏向はよく批判されるが、実のところ有権者の政治的選好が多様なのだから、有権者の選好に沿った各メディアの偏向は有権者への多様な商品供給という意味でよいことだと主張している。まあ興味深いような気もするが、正直面白くはなかった。政策選好が1次元の場合、なんかもう少し組み込んでくれないとどうにも単調に思えてくる。