P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

Inter-temporal Differences in the INcome Elasticity of Demand for Lottery Tickets

Thomas A. Garrett and Cletus C.Coughlin, FRB of St.Louis Working paper 2007-042B (revised Feb 2008)

アメリカの州の宝くじの所得弾力性についての調査。ウェスト・ヴァージニア、アイオワ、フロリダの80年代後半からのデータの解析。
2006年には州の宝くじの売上が480億ドルを越していて、これはアメリカの人口一人当たり約160ドルにもなる。州政府の取り分は170億ドルほどで、これは州政府の全収入の訳1パーセントに当たるとか。で、それで問題になるのはこの手の宝くじは逆進的なんじゃないか、州の予算のより大きな部分を低所得層にまわしているのではないかという事。
で、解析結果は、新しい大型宝くじの導入やらなんやらで所得弾力性は変わるのだが、全体としてはずっと1より低いままというもの。これはつまり逆進性があるということ。まあだろうなというところだが、それより何より、この論文では所得弾力性が1より低いか高いかで累進性、逆進性を語っている事が気にかかる。なんであれ州の宝くじを買う人達って、せいぜい中産階級、大半は労働者階級なんじゃないかと思うんだか。正直、アッパーミドル以上の人が州の宝くじを買っているとこは想像しづらい(いない事はないだろうが)。もしこれが正しければ、真中から下の人たちの間での逆進性・累進性をどうこう言ったところで、そしてたとえ所得弾力性が1より高くとも、全体としては逆進的という事にしかならないのではないだろうか?