P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

ギレルモ・カルボと資本移動規制

ハ−ヴァードのダニー・ロデリックさんが新しい資本移動規制への賛同者を見つけて、驚いてられました。

資本移動管理への(驚きの?)改宗者 ダニー・ロデリック 2008年11月12日

ギレルモ・カルボ(Guillermo Calvo)は国際金融に関してもっとも優秀で洞察に優れた研究者の一人だ。彼が資本移動管理に賛同するなど考えた事もなかったので、彼のVoxEU.orgへの最も新しい寄稿(PDF)を読んで本当におどろいた。カルボは通貨危機においての資本逃避を最小にする為と、あと平時においてもより一般的な役割が資本移動管理にはあると主張している:

5) 連銀やthe Fund (IMF?)による貸し付けは諸刃の剣である。一方では、通貨暴落や銀行の取り付けを防ぐが、また一方では世界的なレバレッジの解消のなかで(under worldwide deleveraging)、そのような暴落や取り付けの可能性と規模を拡大させかねない...
[よって]融資は、資本逃避の規模を抑えるような通貨取引および銀行に関する規制と共に行われるべきだ。
6) 新しいブレトンウッズ体制は資本移動の管理について、とくに銀行部門の取引規制を中心とする管理についてもっと寛大であるべきだ。

この文章の著者が本当にギレルモ・カルボであるのかどうか、何度も確認してしまった...
かつてケインズはこう言ったという。「事実が変わった時、考えも変わります。それがどうかしましたか?」
追記:カルボがもう少し説明してきてくれた。

そんなに考えが変わったとは思いませんよ。私の古いImperfect Credibilityの論文では資本移動管理の利点に触れてますからね。ただ、資本移動の突然の停止(Sudden Stops)について調べていた時、たとえば1998年のチリは資本移動規制を行っていたのにも関わらず南米諸国で最大のSudden Stopに見舞われたことなどを発見して(Talviとの共同論文を読んでください、NBER 11153)、私が資本移動規制(とくに資本の流入について)懐疑的になった事は認めておきましょう。あなたが触れられた論考では、関心の対象は資本の流出です。考察していたのは、世界的な信用収縮のなかで、大きい負債を持つ借り手がドルでの返済のために自国通貨を空売りするかもしれないという心配です(high-collateral agents may short domestic currency to relieve their dollar liquidity needs)。これは1998年にブラジル、チリ、そしてペルーで起きました。これに対応する為、世界的な信用収縮の時期にはそのような空売りがより高くつくものにするような銀行規制を考えていました。
より一般的には、現在の規模のような金融危機においては、すくなくとも一時的に、資本市場は深刻な機能不全に陥ります。そのような時には、セカンド・ベストの政策が効果を発揮するでしょう。しかし、全てのセカンド・ベストの状況(every second-best triangle)への新しく上手い政策を私が提案するなんて思わないでください!