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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

ゼルテン:金融市場の規制が重要だ 

シュピーゲルオンライン第2弾のラインハルト・ゼルテンです。金融市場の規制が必要だと語っておられます。うーん、現在の市場規制のあり方を批判する当たり前のコメントですね。ルーカスもそんな感じだったし、ほかのメンバーを見てみてもこっちだろうなぁ(まだ読んでません)。別に規制強化に反対なわけじゃないのですが、やはり読物としては敵役が欲しい。その点、プレスコットとかマスキンとかを持ってきたニューズウィークは人選が上手かったな。
なお、サミュエルソンは明日、訳します。
金融市場の規制が重要だ  ラインハルト・ゼルテン 2008年11月12日

金融市場の危機の根っこはアメリカの不動産市場のバブルにあった事を思い出してもらいたい。問題はただ金融市場だけではなくて、資産についての市場全般にあるのだ。そういう市場は、財市場などよりも遥かに不安定で、誤った期待が生み出される事がよくある。
アメリカでの不動産価格上昇が永遠に続くと考えていた人が多かった。増大する富、人口成長、そして土地の希少性のゆえに、住宅価格は上がりつづける一方だと。この期待はこなごなに打ち壊されることとなった。
資産市場は安定に欠けているので、金融市場の規制が重要だ。投機には十分な担保による保障がなければならない。住宅ローンについても同じ事が言える。アメリカでは、住宅ローンは、市場価値の110%まで認められていた。さらに、これらの住宅ローンは、変動利子率と、住宅価値に関するローン債務者の責任制限がついてきていた(a limitation of the mortgage holder's liability with respect to the value of the house)。
アメリカの中央銀行である連邦準備銀行が、利子率を一度に0.25%づつ、大して間をおかずに続けて引き上げた時、住宅ローン利子率は最終的に倍になり、多くの借り手が銀行に家の鍵を渡して、かわりに何処か別の場所をより安く借りる事にした。そして勿論、これは実質不動産価格の下落につながり、銀行に重荷を背負わせる事となった。
過去10年、銀行界では革命が起こってきた。銀行は次々に新しいタイプの証券を売り出していった。それらは同程度のリスクのある何百ものローンを一つの証券にまとめてみたというものだ。サブプライムと言う名で知られるローンを証券したものは、特にリスクの高いローンを集めたものだ。多くの借り手が同時に債務不履行になろうとは思われていなかったという事だ。その為、ドイツの銀行はその手の証券を大量に売り上げた。そういう証券は投資対象として非常に利益の高いものだったのだ。格付け機関はそういう証券にAAAの格付けを出した。
明らかに、市場はこういう新しいタイプの複雑な証券の価値を正しく評価していない。故に、新しいタイプの証券の認可(the registration of new types of securities)の為のルールを作る必要がある。証券は食べ物とはちがって、リスクの程度についてのラベル付けがされるべきだ。
経済理論においては、経済活動について合理性の非常に強い仮定が一般的になされるが、その仮定は現実にはまるで満たされない。もし経済主体が経済理論において同様、完全に合理的なら、深刻かつ長期にわたる問題を引き起こす事なく、市場は自身の面倒を見る事ができるだろう。
しかし安定性に関するそんな楽観主義は正当化され得ない。経済理論はもっと現実的な人間行動に基づくように進歩しなければならない。その為に、多くの実証と実験が必要とされている。
そして、金融市場についてのルールは銀行だけでなく、金融市場で活発に行動するヘッジファンドのようなその他の機関にも適用されなければならない。いかなる条件のもとでも、ドイツでいくつかの国有銀行がやったような、銀行が非常に投機的な取引を行う事を目的とした組織を生み出す事が可能であってはならない(Under no circumstances should it be possible for banks to spin off highly speculative deals into special purpose entities)。そのような特定の目的の為の組織は、銀行にかせられる厳格な規制が適用されないのだ。
規制はできる限り分かりやすいものでなければならない。だが同時に、逃れることが可能なものであってもならない。そして、そのようなルールを作り出すには、金融機関と法律に関する詳細な知識が必要不可欠だ。多くの場合そうであるように、重要なのは細部なのだから。