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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

アメリカのブログにおけるリベラルの優勢:コスのインタビュー

日本とは違って、アメリカのネットの世界ではリベラルが優勢と一般的に言われています。実際、いかにすればネットにおいて保守の勢力がひろまるのかが、最近の保守系ブロガーの話題の一つになってるくらいで。共和党もなんとか、ネットがんばってます!というビデオをつくってたりしてます。ネットというといまだに若者のメディア、という認識が強い事もあり、党の将来の事を考えてもネットをがんばって若者を取り込まないと!という危機意識は分かるんですが、2008年の大統領選共和党候補マケインの娘でマケイン陣営のブログを書いていたメーガン・マケイン(彼女は24歳)から、ビデオに出てくるのが50-60代以上ばかりで、これじゃだめだわ、とか言われてしまってます。暗いです。そんななか、リベラルブログといえばここ、となっているDailyKosのパブリッシャー、Kosことマーコス・モーリタス・ジニガが自身の2年前のインタビューの抜粋をDailyKosに再掲していたので、訳してみました。デヴィットはインタビュアーの人です。
マーコス・インタビュー 2007年5月8日の抜粋
デヴィット:では別の方向から見てましょう。つまり、フロントページや、あなたの選んだコントリビューティング・エディターではなく、ダイアリスト達のロングテイルのことです。あなたの作り上げたシステムは、あなたのサイトが掲げるプログレッシブの価値観を反映したものだと思いますか?

マーコス:ブロゴスフィアは我々がリベラルとしての強みを発揮できた始めてのメディアなんだ、と思っています。プログレッシブ*1と保守派のブロゴスフィアを見比べてみれば、その二つが全然違うスタイルで動いている事が分かるでしょう。保守派のブロゴスフィアはトップ/ボトムのマシーンです。ほとんどの大手のブログはコメント欄を持っていません。メッセージを送る為のマシーンだからです。本質的には右翼のスピーカーの延長なんです。だから、ラッシュ・リンボー*2が話題を提供し、カール・ローブ*3がそれをファックスして、グローバー・ノーキスト*4がそのメッセージを整えるわけです。ブログはそのメッセージを送り込む為のマシーンの一部なんです。
で、それは、一つのストーリーに的を絞った時にはとても効果的です。それってただ繰り返してるだけなんですが、しかし、一つのストーリーをテレビ、ラジオ、インターネット、雑誌、新聞で繰り返し流すことでメガフォンのような効果が生まれるわけです。とても、とても強力です。それがいいとか悪いとか言ってるわけではないですよ。我々の方が正しくて、彼らのが間違ってるとか。ただ彼らはその彼らの務めを非常にうまく果たしているという事です。
で、我々の方ですが、我々はメディアの世界ではうまくやって来れませんでした。リベラルは協調性がない、とはよく言われたジョークです。ウィル・ロジャーズ*5はこう言ってました「私は組織政党の一員ではない。私は一人の民主党員なんだ。」従ったりはしないよ、という事ですね。「何を考えるかなんて、言ってくれるな。私は私で考える」。当然ながら、これは問題でした、与えられた話題をちゃんとメッセージとして伝え、そしてそれを協調して行うことが重要なメディアの世界においてね。
ですが、我々は単一のメッセージに縛られる必要のないメディアを手にしています。これは我々の大好きなもの、いすに座りながら、主張して、口論して、そして議論する事を促進するメディアです。そして勿論、選挙の時には、その時が来たならば、みんなで一緒になって、選挙のために動きます。
...

保守派は怒り狂う事ができます--それが彼らの務めですから:メッセージを伝え、そのメッセージを繰り返します。単一のメッセージの繰り返しはとても、とても効果的で、何十年に渡って彼らの選挙の勝利を助けてきました。もう80億回くらいそのメッセージを聞いてますから、誰もが共和党は何の為の政党なのかを知っています。小さい政府、低い税金、国防、そして家族の価値を守る事。みんなそれを暗記してしまいました。でも、誰かになぜ民主党員なのかと尋ねると、1800万個の別々の理由が出てきます。メッセージは全然単一ではありません。そして、これは伝統的なメディアの世界では問題になってしまいます。みんなが全然別の事を言うわけですから。共通のメッセージがないので、視聴者は困惑するわけです:「こいつら何考えてんだ、全然わからんぞ」
しかし、我々は今、メディアを手に入れました。ブロゴスフィアです。多様な考えを受け入れて、そして議論し、口論して自分の考えを持ちたいという願いをかなえてくれます。そして我々のネガティブな弱みであったものを強みに変えてくれるのです。

デヴィッド:しかしですね、それは民主党党員同士での議論が起こりやすくもさせるので、ネガティブな効果もあるわけでしょう?さらに党を分裂させることもあるわけでしょう?なら、その強みとはなになんでしょうか?どうやって議論や口論を通してまとまるという事が起こるんでしょう?

マーコス:重要な事は、我々はかつてあまりにも分裂していたので、それぞれが自分の根城に引きこもってしまっていた事です。一方に環境保護団体がいて、また一方に女性団体がいた。そして別のところに労働団体がいた。民主党にはそういったいろんな集団がいて、おおきなプログレッシブの運動の中にはいたけれど、常にそれぞれが違うテーブルに座っていたわけです。
しかし、いまではDaily Kosのような場所において、その全員が集まる事が可能になりました。党の中央、左派、右派です。そして我々は口論して、口論して、口論するわけです。みんなそれぞれ相手をひどく嫌ってます。Daily Kosが(保守派におけるそれのように統制のとれた)スピーカーとなっているという人達がいますが、それってジョークですよ。野蛮な場所ですからね。
でも、とにかく我々はみんな同じテーブルに着くことができたわけです。みんな口論していますが、とにかく同じテーブルについている。そして選挙が近づけば、半年くらいまえから色々な違いはとにかく脇においておくなり、なんとか解決するなりします。そして選挙が終わると、また口論が始まり、当選するように助けたばかりの民主党議員を非難したり嫌ったりが始まるわけです。しかしとにかく全員を同じテーブルにつけることで、その力をまとめて、必要な時にその共通の目的のために働けるようにできるようになったわけです。

*1:リベラルとほぼ同義。ただしクルーグマンみたいに、プログレッシブを行動するリベラルと定義する人もいる。

*2:トークラジオと言われるスタイルのラジオ番組のホスト。トークラジオって、基本的には日本のAMラジオの昼の番組のスタイル、聴取者を番組に出しながらホストが適当にしゃべるってのと同じスタイルだと思う。ただアメリカのトークラジオは一般的に右の政治性が強く、そして聴取者をうごすので政治的な力を持っている。なかでもラッシュ・リンボーは共和党を支配しているといわれるほどの大物。

*3:いわずと知れたブッシュ前大統領の参謀。かつては共和党の選挙勝利の黒幕と称えられたが、それも2006年、2008年の連敗により終わった。このインタビューは、その中間の、まだカール・ローブにその黒幕のオーラがあった2007年のもの。

*4:共和党を支配するEstablishmentの一人。ただし本人は議員ではない。「バスタブの中で溺死させられるくらいに連邦政府を小さくしてやる」と言った事で有名。

*5:1943-44年のカリフォルニア選出の民主党議員?