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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

クルーグマン:最低賃金−−疑問への回答

前のエントリーで述べた、最低賃金についてのクルーグマンのエントリーの続きです。最後に出てくるRajiv Sethiというのはコロンビア大学バーナード・カレッジの教授、最低賃金引下げは雇用を低下させるかもしれないよというブログのエントリを書いてます。


最低賃金 −− 疑問への回答  ポール・クルーグマン 2009年12月16日私の前のポスト和訳)についてのコメントした人たちの何人かがその分析についての疑問を呈していた。なので、よくあった疑問のうちの三つについて簡単に答えておく。

1.なぜ私は最低賃金から全般的な賃金の話にとんだのか?明らかに、最低賃金の低下−−これは一部の労働者にしか関係しない−−はそ労働者たちの雇用をふやす。他の労働者達の犠牲の下に。しかしカットの提唱者達は全般的な雇用の増加が可能だと主張しているわけだ。それが可能なのは、平均的な賃金の低下が雇用を増やす時だけである。

2.経済学101*1は賃金カットは効果を持つと述べていないか?*2 していない。それは<<実質>>賃金の低下が雇用を増やすと述べている−−しかし肝心な点は、全ての賃金の名目額の低下は実質賃金を必然的に引き下げるというわけではないという事だ。そしてまた重要な事に関しては、私がリンクしたこの短いAS-AD分析経済学101なのだ。少なくともよい教科書を使っているなら。

3.国際競争力についてはどうなのか? 我々は変動相場制を利用している。そして全業種にわたる賃金カットはドルの同じだけの上昇に反映されることになり*3、競争力向上などは消えてなくなる。

アップデート:Rajiv Sethi

私が理解できないのは、なぜとても知的な人たちが労働市場のワルラシアン部分均衡分析を行う事に固執するのかだ。まるで我々がオレンジの市場と係わっている様に。お願いだから止めて欲しい。

しかし彼らは止めはしない。

*1:「なになに101」というのは、その「なになに」についての初歩、入門のクラスを表す一般的な表現。

*2:これについては心が痛む。アメリカでTAやチューターをしている時、最低賃金についてのに説明では、いつもの部分均衡の図をもとに最低賃金の効果について学生に説明していたから。そんな単純な事じゃない、って事は分かってたが、簡単な部分均衡の図に表せない要因とかを説明しだしたら、学部学生を混乱させるだけなので(あるいは混乱させるような説明しかできないので)、間違っていることを教えているような気がしつつも仕事として説明していた。

*3:賃金カットによるデフレ、あるいはインフレ低下は、自国通貨の上昇につながる。