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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

元奴隷から奴隷所有者への手紙

(最初の文章は色々と情報が欠落していたので、一部修正と追加をしました)

BoingBoingで1865年8月22日付けのニューヨークデイリートリビューンに掲載された元奴隷ジョーダン・アンダーソンからかつての奴隷所有者P・H・アンダーソンへの手紙の文章がアップされていました。詳しい事は判りませんが、どうも南北戦争中に自由の身になり南部のテネシーから北部のオハイオへ逃げた元奴隷の夫婦のもとへ、戦後、かつての所有者から戻って来いという手紙が届いたようで、新聞に掲載された手紙はそれへの返信という事です。特別な美文ではなく、別に歴史的価値があるわけでもないですが、読んでみて訳すことにしました。卑屈にならずとも良く、人に対等な要求ができる独立した自由人という事は素晴らしいことだと思いましたから。
(なお、原文は19世紀後半のものなので、正直一部誤訳などがあるかもしれません。何かありましたら、コメント欄にお願いします。)

追記:id:fhvbwxさんがブクマで当時の識字率に触れられていますが、BoingBoingによると"reportedly dictated to a letter-writer"ということなので、代書屋さんに執筆自体は依頼したのでしょう。この手紙が本物か(本当に元奴隷の夫婦が書いたものか)については実のところ確証はないわけですが、BoingBoingによると当時の国勢調査でジョーダン・アンダーソンとP・H・アンダーソンという人物が手紙で触れられている通りに存在はしていた事が確認できるそうです。より詳しくはBoingBoingのリンクをたどってみてください。

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あなた様の手紙を受け取りました。ジョーダンを忘れておられず、そして私にあなた様のところへ戻り、またあなた様と一緒に住んで欲しいと、そして他の誰よりもよく私の面倒をみると約束していただき、嬉しく思いました。私は時折、あなた様の事を心配しておりました。これまで私は、あなた様のお屋敷にかくまわれていた南部兵士が見つけられて、ヤンキー達(北部人)があなた様を縛り首にしてしまったのではないか、と考えておりました。彼らの厩のなかで仲間から取り残された北軍兵士を殺す為、あなた様がマーティン大佐のところへ行ったことを彼らは聞いたことがないのでございましょう*1
私の自由に関しますと、あなた様は私がそれを得る事ができるとおっしゃられますが、その点につきましては何の得るものもありません。私はナッシュビルの省の憲兵司令官将軍(the Provost Marshall-General of the Department of Nashville)より1864年に自由を認める証書(free papers)を頂いております。マンディ*2はあなた様が私達を公正に、寛大に扱おうとするなにかの証明なしに戻るのはおそろしいと言っております。ですので我々は、あなた様の誠実さをお示しいただく為に、私達があなた様にお仕えしました時間の賃金をお送りいただきますようお願いすることにいたしました。これにより昔の事を忘れ、許し、そしてこれからあなた様の正義と友情に頼ることができるようになるでしょう。私はあなた様に忠実に32年仕えました。マンディは20年です。私には月に25ドル、マンディには週に2ドルとして、我々の収入は11、608ドルとなります。そのお金をアダムズ・エクスプレスによりオハイオ州デイトンのV・ウィンターズ様気付でお送りくださいませ。
ジョージ・カーターにこんちわとお伝えください。そして、あなた様が私に向かって発砲していた時に彼があなた様からピストルを取り上げたことへの感謝も。

*1:原文"I suppose they never heard about your going to Colonel Martin's to kill the Union soldier tha twas left by his company in their stable"

*2:奥さんでしょう。