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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

クルーグマン:メルトダウン経済学

クルーグマン 地震 経済学

東北地方太平洋沖地震発生から少し立ちましたが、皆様どのようにお過ごしでしょうか。
すいません、なにか間の抜けた事しか書けませんで。
正直、このブログなど小さなものなのですが、それでも読んでくださってた方は日本の各地にいらっしゃったし、今回の地震・津波の被害の規模を考えれば、読んで下さってた方の中に亡くなられた方がいらっしゃってもおかしくないわけで、その事にこれを書き出してから気づきました...
すべての亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。


私自身は今回の地震・津波から直接の被害は受けなかったのですが、仕事の方がしばらくの間、暇になってしまいました。なのでその間、日本がらみの経済学関連ブログ記事を訳していく事にしました。その一本目はまたまたクルーグマンのブログポストです。もしかするとこれは不謹慎と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、お金の話は生きていく為には必要なことという事でご理解をお願いします。
もし誤訳・タイポなどがありましたらコメント欄にお願いします。


メルトダウン経済学 ポール・クルーグマン  3月15日
人生とビジネスは続く。なので福島の悪夢の経済的インパクトについても我々は語っておくべきなのだろう*1
そのインパクトの一部はサプライチェーンの混乱だ。日本の半導体やその他の部品は世界の製造業の重要な部分であって、中国、韓国、日本そしてその他は東アジアの工場コンプレックスの各部を成していると考える必要がある。よって、どれほどのダメージがもたらされたのかはまだ全く明らかではない。
しかし、私が頻繁に耳にしているのは、金融面でのインパクトへの懸念だ。日本は明らかに何千億(ドルで、円でではなく)をダメージコントロールと復興に使わなければならないだろう。地震の直接の経済的インパクトによって収入が落ち込むのにも関わらず。よって、日本の資本の輸出者としての規模は減少し、資本の輸入者にすらなるかもしれない。しばらくの間は。そしてこれにより、とその懸念の物語は続くのだが、利子率が急上昇することになる、と。
しかしこれまでのところ、まあなんだ、そうなっていない。日本の10年もの利子率:

そして合衆国の10年もの:

何が起こっているのか?利子率が上昇するという物語は通常の時ならば正しかっただろう。しかし今は通常の時ではない。我々は今だに流動性の罠の中にあり、短期利子率はゼロ利子率の下限にぶち当たったままだ。
およそ2年も前にも説明しようとしたように、流動性の罠についての考え方の一つは、これは完全雇用の状態で人々が貯蓄しようとする額(下の図のS)が、利子率がゼロですらビジネスの投資しようとする額よりも多い状態として捉えるというものだ。つまり実質的に、計画貯蓄(desired saving)の超過があるということだ:

よって政府の借り入れは民間の貯蓄の犠牲の上でなされ利子率を引き上げる、というわけではない。そうではなくて、それは計画されたが実現されなかった貯蓄を利用するだけなのだ。
そしてそう、これは原発事故が景気刺激的になりうるという事を意味する。たとえ日本についてはそうでなくても、少なくとも世界にとってしばらくの間は。もしこれが狂っているように聞こえるなら、まあ、流動性の罠の経済学とはそういうものだ。思い出してもらいたいが、大恐慌を終らせたのは第2次世界大戦だった。
なので、日本に戻ろう。人命の犠牲には恐怖するし、世界の生産への障害には心配になる。けれど私は世界の債券市場での日本の借り入れの影響についてはまったく心配していない。

*1:福島原発の話とされているが、実際のところは被害は(すくなくともこれまでは)地震・津波からのものですが。