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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

ヨーロッパにおける年齢の決定要因、あるいは耳毛と年齢の関係

opticalさんが訳されたハーフォートのブログポストで、GDPとペニスサイズの間には有意な関係があるという冗談論文が紹介されていました。これは社会科学において、統計の利用は単に技術だけの問題ではないということを主張するためのそれなりにまじめな論文でしたが、統計学者のゲルマンがさらに冗談色のつよい論文を紹介していました。それもGDPとペニス論文はただのワーキングペーパーでしたが、こちらはEuropean Political Scienceというジャーナルにちゃんと載っています。こう書くと「知の欺瞞」事件が思い出されますが、文章からして冗談なのは明らかなので、じゃーなるも冗談論文として載せたんでしょう*1。短い論文なんですが、さすがに全部を訳すのはしんどいので、アブストラクトとイントロダクションだけ訳しました。興味を持った方は原文に当たってみてください。
ちなみにこの訳出部分には耳毛と年齢の間の関係についての記載はありません笑
そして、もし誤訳・タイポなどがあればいつものようにコメント欄にお願いします。
 
Determinants of Age in Europe: A Pooled Multilevel Nested Hierarchical Time-Series Cross-Sectional Model Uchen Bezimeni, European Political Science (2010) 10, 86-91.

アブストラクト
年齢が社会経済的、政治行政的、生物学的、そして死亡学的な多くの変数と関連していることは、これまでもしばしば発見されてきた。しかしながら、研究者たちは「年齢」を説明することには多くの注意を向けてはこなかった。この論文で我々は、「年齢」を(ポスト)合理的選択と社会的構成主義理論(social constructionist theories)が示唆するいくつかの変数の関数とするモデルを作り、この不運なる科学的欠落を是正するものである。最先端マルチレベル統計のテクニックを用いることで、我々の分析は年齢の決定要因がヨーロッパ各国の制度的特性に応じて変化することを許容している。結果は、見知らぬ人への一般的な信頼、一月に行われる地域選挙での極端な現職政党への支持、そして国会のカフェテリアにおける資格過剰な女性の比率が全て、「年齢」の統計的に有意な説明要因であることを説得力を持って示している。我々の発見は、陰謀論者、組織のアドバイザー、政治家の報道対策アドバイザー、そして一般の自称専門家にとって自明な含意を持つものである。

イントロダクション:年齢研究の時代、来たる。
年齢と老化は大抵の離散的な非オートポエティック*2なバイオロジカルシステムの懸念事項である。これには人間も含まれる。しかしながら驚いたことに、社会科学者が年齢の変化を、個人、システムレベル、そしてそれらの中間的な(in-between)な変数により説明しようとするのはとてもまれであった。ほとんどの計量的研究において年齢は顕著に出てくるが、残念なことにそれはほとんど変わることなく回帰方程式の右辺に位置している。この論文では、我々*3はこの世間の流れに反し(そして方程式を反転させて)、以下の質問を問うものである:年齢を説明するのは何か?社会学、政治学、教育そして心理学の分野でのほとんどの研究は有意な年齢の影響を報告しているので、年齢の決定要因を調べるのはさらに重要なことである。年齢の研究は、年齢は時間の線形変数であるという確かめられざる仮定によって何十年も妨げられてきた。もしこれが事実ならば、年齢はなぜ、あまりに多くの社会経済的、政治行政的、生物学的そして死亡学的な変数と非常に密接に相関しているのだろうか?そしてさらに、研究者は年齢が教育レベル、賃金、耳に生えた毛*4、等々に応じてシステマチックに変化することを発見している。明らかに、他の何かが関係しているのだ。さらに近年、((脱)再)構成主義の理論がこの実証上のパズルを、年齢のラディカルな主観的特長をあばくことにより解きはじめている。付け加えて、重要な、しかしあまりそうとは認識されない論文であるWuffle et al (1997)が、(アメリカの下院のような)ある種の組織は年齢に非常に大きなインパクトを与えること、そして死という事象にも関係していることを見つけ出している*5。この論文は、合併マルチレベル・ネスティッド階層混合時系列クロスセクションモデルを組み立て、以下のセクションで説明される理論モデルにおいて示唆された一連の変数全てが年齢の有意な説明要因であることを明らかにして、この、今、現れつつある学問分野に貢献することを目的とするものである。

Wuffle, A., Brunell, T. and Koetzle, W. (1997) ‘Death where is thy sting? The Senate as a Ponce (de Leon) scheme’, Political Science and Politics 1: 58–59.

*1:というか、でないとまずいでしょう。

*2:原文"non-autopoetic"。"autopoietic"の(意図的な)タイポかもしれないが、とにかく意味不明。

*3:原注:私が「私」ではなく「我々」を使うという事実はこの論文の大部分が私の学生アシスタントによって書かれたという非難とは何の関係もない。「我々」はこの論文の結果に一人以上の人間が同意していることを示すために、明らかな間違いがあった際にはその責任をごまかすために、そして自己肥大の暖かい感覚を育てるためだけに使われているのだ。訳者注:なるほど。以前から、なんで著者が一人の論文でも「我々」が使われているのかと思っていたが、そういうことですか笑

*4:原注:一部の研究者はこの関係は性別によって異なると考えているが、確定できるだけの実証の証拠はない。

*5:議員には高齢者が多い、ということ。