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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

俺モラリストvs小悪党達の嫌な闘い: 「ドント・ブリーズ」

映画館の素晴らしいところはなにか?円盤レンタルはもちろん、配信が充実してきている今、わざわざ交通に時間とお金を費やした上で、2時間くらい特定の場所に閉じ込められにいくのはなぜなのか?

まずは大きいスクリーンに大音量、さらには最近は4DXなど劇場だけの魅力があるからですが、それ以外に劇場だと途中で作品を止められないというのがあります。これがホラー*1だと大きい。家で観てるとホラー映画は怖くなった途端に止めちゃうので最後まで観れないのですが、劇場だと閉じ込められて強制的に最後まで観ることができます。すばらしい事です。ということで、予告編だけでもテンションが高いこの映画を映画館で観てきました。


映画 『ドント・ブリーズ』 予告

観てる間、何度もだしてくれ~と思いながら座席で体が固まって疲れました。ちなみにこの日本の予告編よりもアメリカのオフィシャルトレーラーの方が更にテンション高くて怖かったりするのですが、この本国版が一ヶ所要らないネタバレをしているので日本の方を出してます。

作品の内容は、アメリカ南部の荒野の一軒家で若者たちが殺される話、ではなくて、荒廃して住民減少中のデトロイトで、周りに住民が住んでいない家に住む元軍人の盲人のもとへ金を盗むに忍び込んだ3人の小悪党の若者たちが経験する恐怖の物語です。正直、南部の一軒家の殺人鬼を北部に移した話かと最初思ってたのですが、全然違いました。殺人者の側が盲人であり、舞台が基本、家の中なので殺人者と対面する事が何度もあるのですが、主人公たちはそれをなんとかやり過ごします。タイトル通り息をしなければ、つまり音を出さないでおければ。SF系、あるいはそれっぽい作品でなら主人公が見えなくなっているといった理由で見つからないように息を止めるというのはありますが、SFでは全くない作品でこういう対面は珍しい。なので静かなシーンの多い映画なのですが、この静けさがテンション張り詰めた恐怖の静けさになっていて素晴らしいです。
 
あとホラーなのですが終盤、とある種明かしがあり、それによってこの作品がほんとうに南部の殺人鬼が北部に移住してきた作品ではなく、神などいない世界での俺モラリストと小悪党の対決の映画である事が笑いと共に明らかになります。アメリカらしい。この作品の最後にテレビニュースが流れるのですが、そこでも改めて俺モラル、つまりはモラルの不在を感じさせられました。
 

*1:そして眠くなりそうな芸術系の作品とか。