P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

「筒井康隆 日本文学の大スタア」

日本SF第一世代の一人にして、現在では「日本文学」のスタアとなった筒井康隆を特集した本。
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ぶっちゃけ、「日本文学」に寄るほど個人的な興味は薄れるわけだが、それでも完全に興味が無くなるところまでの「日本文学」にはならないのが筒井康隆の素晴らしいところ。そういう認識の人間なので、幅広く色々な人たちが様々な面からみた筒井康隆について寄稿しているこの本の中で特に引っかかったのが、日本SF作家協会内での人間関係(i.e., 対立)について触れた大森望さん相手の筒井先生のインタビューだったり、1979年か80年の星新一さん相手の日本SF界についての筒井先生の対談。SF界については知的で友好的な世界であったという幻想を持ちたいし(勿論、そんな綺麗事だけなわけがない事はとっくに知っているのだけど)、そして80年頃の筒井先生がSFプロパーな事についてそんなに興味を持っていたのかなと、40年も遅い心配をしてしまう。
なんであれ、筒井先生の全集とかを読みたくなってくる本であった。