P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

Could this all have been pre-planned? アメリカの支配者達の陰謀?

いや、久しぶりにわくわくするものを聞いた。
アメリカの公共ラジオ放送NPRの番組の一つ、Talk of the Nationを聞いていたら The Death of WASP Cultureというのを放送していた。小文字でwaspスズメバチみたいな怖い蜂のことだけど、大文字の"WASP"とは White Anglo Saxon Protestant、そしてそのなかでもOld Moneyと呼ばれる英国系白人プロテスタントの大金持ち、いわゆるアメリカの支配層のこと。もっともOldがOldと呼ばれるのは意味があるわけで、IT系みたいな新興の金持ち層は出てきているし、アメリカで白人がマイノリティになるも近いらしいし、いわゆるWASPのOld Moneyの閉鎖的な文化もだんだんと衰退しつつあるというのを、その当のWASPのOld Moneyの一人、日本でも有名なジョンソン&ジョンソンの家系出身のジャーナリスト・ブロガーがリポートしていた。衰退しつつあるとはいえやはり大金持ちが多いわけで、その人達の巨額の出費や寄付の話、最近では成金やらそもそも金もないくせに出費だけはする貧乏人(いわゆる一般人)達のせいでベントレーや自家用ジャンボなどが当たり前になってきたので、逆にプリウスに乗る金持ち、さらにそもそも景気がよいと貧乏人がうざいからと今回の景気後退を喜ぶ金持ちとかの話がされた後で、聴取者からの電話となった。
その電話の二人目が、かつて70年代のミズーリでの大学時代の話だった。どうもその大学は私立のリベラル・アーツ系の大学らしく、ハーヴァードやイェール等、お金持ちご用達大学に行かなかった・行けなかった金持ちのぼんぼん達が多く通っていたらしい。アメリカにはこの手のハーヴァード・イェールみたいに世界的に有名ではないが、金持ちが金持ち同士で群れあうために通うリベラル・アーツの私立大学がいろいろある。電話の主は金持ちではなかったようだが、それでも金持ちの学生達と色々と付き合いがあったようで、その当時に彼らから聞いた話というのを話した。彼がいうには、金持ちのぼんぼん達は、また1930年代の大不況がやってくればよいと言っていたと言う。アメリカの好景気のためにLittle People、つまり貧乏人達が増長していると。彼らには贅沢をする権利などないと。そういう権利はわれわれだけにあり、大不況がまたくれば、貧乏人達は昔どおり金がない生活に戻っていくだろうと。
ほ〜んと嫌な金持ちどもの話だ。これは70年代半ばの話だが(と言う事は石油ショック時の不況期だ)、ジョンソン&ジョンソンのブロガーさんはこの手の考えのOld Moneyの人間は今でもいるという。で、この昔話の後でこの聴取者は番組のパーソナリティーに質問をはじめた。


聴取者「ジョージ・ブッシュの故郷はどこ?」
パーソナリティーコネチカット」(東海岸
聴「彼はどこの大学をでた?」
パ「イェール」(そのあとハーヴァードのビジネススクールを出てる(!))
聴「彼の家系はOld Moneyか?」
ジョンソン&ジョンソン「Old Money」
聴「だとすると、これら(戦争・不況)はすべて仕組まれたものってことはありうるのか?」


しびれたね。この後、番組はパーソナリティによっていやそんな事はないでしょうという方向へ当然ながら誘導されて、この後の盛り上がりはなかったが、なにしろOld Moneyの一般人への蔑視を聞いた後の話なだけに、聞いていた人間はみんないや〜なものが心の中に残ったと思う。アメリカ外だと、アメリカと陰謀といえばアメリカ(それともユダヤか?)が世界を支配するってパターンだが、アメリカ内だとアメリカの支配層(政府)から一般のアメリカ人に対する陰謀ってパターンがある。そんなものを直でぶつけらても普通は、はいはい、で終わりだが、今回はOld Moneyの話がちゃんと前フリになった上で、さらにちゃんと段階を踏んでいたので効果的だった。イラク戦争アメリカの景気後退では、日本だとネオコン覇権国家アメリカの衰退とかって話しになるが、アメリカでは支配層による思い上がった貧乏人達への懲罰としての戦争・景気後退という話が出てきたりもするわけだ。日本には今回のアメリカの景気後退を覇権国家アメリカの衰退とかいって騒いでる(喜んでる)人達もいるようだけど、案外アメリカの支配層の思惑に乗せられてるだけかもしれませんよ。気をつけて!