P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

通貨危機

クルーグマンが新興国通貨の暴落の可能性、それもものすごく酷いもの("The mother of all currency crises")を心配しているのですが、それを受けて国際貿易と開発経済学のダニー・ロデリックが自分のブログで同様に心配したエントリーを書いてるので、訳してみます。いつものように、一部自信がないところには、(?)をつけてます。正直、この手の危機話は、個人的には話半分と思ってるんですが。

                                                                                                                                              • -

IMFのすばやい行動が必要 by ダニー・ロデリック
ポール・クルーグマンが新興国市場での史上最悪な規模の通貨危機の心配をしている。残念ながら、私も彼の心配は杞憂ではないと思っている。以前のエントリーに書いたように、途上国での金融危機は始まったばかりで、しかもそれはこれからどんどん悪くなっていくという指標がいくつもある。この危機のこれまでと違う点は、その財政規律と通貨が問題とされた国は独力ではどうにも出来ない点だ(?)。それらの国々は外部からの融資枠の拡大が必要である。それも、問題の規模が手におえなくなる前に速やかに。
解決策は明らかだ。IMFが、おそらくG7の中央銀行とともに、新興国市場の最後の貸し手としての機能を果たすべきなのだ。これらの国々が、その通貨の大暴落を起こさず問題を回避できるようにするためには、潤沢な準備通貨の借り入れが出来る事が必要なのだ。それも早く、付帯条件ほとんどなしで。そして、それには中国も参加するべきである:2兆ドル近い外貨準備の一部をこの世界的な融資枠拡大に役立てるべきだ。
エマージング・マーケットは彼らに責任のない危機によって危険にさらされつつある。しかし、その他の世界は純粋に自己利益からも、この事に対処しなければならない。先進国の不況に新興国の底なしの通貨暴落が加われれば、アメリカやヨーロッパでの貿易障壁への抵抗は不可能になってしまう。1930年代のような失業と他国を犠牲にする保護主義は、既に予想されている不況を第二の大恐慌にしてしまいかねない。さらに酷くなりえるのだ...
この良いニュースが飛び込んできたが、(IMF総裁)ドミニク・ストロス・カーンがこの緊急を要する責務に集中する事を妨げるべきではない。IMFがこの方向へ向かっているという報道がいくつかある。私は、これは新興国にとってまさにその命運のかかった一大事であると感じている。IMFがすぐさま正しい手段をとるというアナウンスをしてくれる事を望む。