P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

ヒッブス教授と、愉快な選挙モデル推測値達

redbluerichpoor.comから。
もう今年のアメリカ大統領選の結果はほぼ出たも同然ですが*1、アメリカ今年度第三4半期のGDP成長率速報値(前期比年率マイナス0.3%)が公表されたのを受けて、Hibbs教授「パンと平和」モデルによる最新の大統領選予測を出しました。この「パンと平和」モデルとは、その名の通り経済と戦争によって政権党の大統領選挙結果を説明しようというモデルです。下の図はアメリカの第2次世界大戦後の大統領選での政権党の得票率と選挙前数年間の経済成長率の加重平均を表した図です。

経済成長率と得票率の間には明らかな正の関係がありますが、それはまあ当然でしょう。それよりも驚きなのは、その正の関係から大きく外れた得票率を示した年(52年、68年など)は朝鮮戦争ベトナム戦争によって説明されうる年ばかりだということですね(戦争の影響は戦死者数ではかられます)。つまり、大統領選というのは、経済と波乱要因である戦争(戦死者数)できれいに説明されてしまうといっているのがこの「パンと平和」モデルです。さて、元々これは説明のためのモデルだということですが*2、モデルのデータへのはまりがいいので予測にも使われています。で、第3四半期速報値を使ったこのモデルによりますと...

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October 31, 2008 update of Presidential Vote Forecast: Preliminary estimates of 2008q3 national income data released on October 30 by the BEA indicate that the economy has weakened so much that I have updated my 2008 election forecast: The Bread and Peace model now predicts a 2-party vote share for McCain of 46.25%, implying Obama will win by a margin of 7.5 percentage points.
2008年10月31日の大統領選得票予想更新:BEAが10月30日に公表した2008年第3四半期国民所得データの速報値によると、景気は非常に悪くなっているので2008年選挙予想を修正することとした。パンと平和モデルによると2党間でのマケインの得票シェアは46.25%となった。つまりオバマが7.5%ポイントの差をつけて勝つということである。

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以前このモデルに触れた時はもう少し経済関係の数字が良かったので、「ただ共和党が一方的に不利とは必ずしもいえないようだ」とか書いてたんですが、政権党側であるマケインの得票率予測が46.25%とは、上の図で見る限り...
「圧倒的じゃないか、我が軍は!」by オバマ

*1:後の興味は、オバマがどれくらい勝つかと、一緒に行われる上院・下院選挙で民主党がどれくらい議席を伸ばすか、くらい。

*2:もっと中身を知りたい人は教授のこのモデルについての論文である[http://www.springerlink.com/content/v1j0j1v6601pw691/?p=88b671fe2b0442399be9d9fac4f7150a&pi=1:title=これ]や[http://www.springerlink.com/content/f533t53183x419wl/?p=88b671fe2b0442399be9d9fac4f7150a&pi=4:title=これ]を読んでください。ところでどっちもジャーナル・ペーパーなんですが、これらが載っているPublic Choiceを含めたいくつものSpringerの学術雑誌が今、無料で読めます。期間限定なのか、経営方針でも変わったのか...