P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

「町山智浩・春日太一の日本映画講義 戦争・パニック映画編」

タイトルにある映画評論家(兼アメリカ紹介者?)町山智浩さんと時代劇研究者の春日太一さん二人による日本映画、特に戦争映画、パニック映画についての対談を一冊の本にまとめたもの。面白い。

www.kawade.co.jp

なかでメインに取り上げられている作品*1については目次をコピペしまして、

  • 第二章 『兵隊やくざ』シリーズ――ブロークバック日本軍 
  • 第三章 『日本のいちばん長い日』(1967)――戦争を終わらせる戦い 
  • 第五章 『日本沈没』(1973)――黒澤組&円谷組、世紀の競演

私がこの中で観たことがあるのは「日本沈没」と「新幹線大爆破」だけですが、その他の各映画についても二人の解説が楽しくて、「日本のいちばん長い日」や「激動の昭和史 沖縄決戦」は観てみたくなりましたね(シリーズ物の「人間の条件」と「兵隊やくざ」はしんどそうなので、ちょっとまだ勘弁。)

ただ、町山さんの映画解説だとよくある事ですが、細かい事実誤認をしてたりしてます。第四章の「激動の昭和史 沖縄決戦」は、例えばアニメヲタの中でも「トップをねらえ!」においてパロられている為に少し知られていたりする作品だと思いますし、町山さんもその事を取り上げます。ですが、OVAである「トップをねらえ!」をテレビアニメ(P.162)と語っていますし、「激動の昭和史 沖縄決戦」での米艦船があまりに多すぎるシチュエーションでの台詞にオマージュを捧げている同様に敵があまりに多すぎるシチュエーションでの台詞を「敵艦で宇宙が見えません!」と引用しているのですが(P.163)、これが正確でないのは置いておいても*2、「トップ」での敵は宇宙怪獣なので「敵艦」なんてものはありません。もともとの対談中に間違えるのは分かるんですが、この本はその後に構成・校正されて出されているはずなのになぁとは思ってしまいます*3。とか書いてしまってますが、まあこの手の事はブーメランになりやすいので自戒ですね。

*1:触れられている作品は多すぎて書ききれない。

*2:第5話での「そうだ。敵の数が多すぎて、宇宙が黒く見えない。敵が七分で黒が三分。いいか。敵が七分に黒が三分だ。」

*3:あるいは出版社の河出の責任なのかな。