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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

「葛城事件」 


映画『葛城事件』予告編

独善的・抑圧的な父親、自分の夫への嫌悪を隠して生きてきた弱気な母親、真面目ではあるが積極性に欠ける兄、通り魔連続殺傷事件を起こして死刑判決を受けた次男の一家と、その一家が崩壊後に死刑反対の思想のゆえに獄中結婚をしたという女性の物語。
映画評論家としても名をなしているラッパーのライムスター宇多丸さんが絶賛だったので観に行ってきたのですが、確かにレベルの高い良い作品でした。ですが、私には正直、全然でした。上の登場人物紹介からも予想がつくように嫌な気分にさせてくれる映画です。ですがたとえば同じ「嫌な」でも、こっちを取り込んでくれるかくれないかとがあります。例えば、ダンサー・イン・ザ・ダークだとか、ミストだとか、「嫌な」映画でもこっちを取り込んでしまう作品はあります。残念ながら、この「葛城事件」は私を取り込んではくれませんでした。
勿論、宇多丸さんを含めたいろんな方々の絶賛からして、私が取り込まれなかっただけではありますが、それはなぜなのか?
一つには、何度も出てくるコンビニ飯で家族が既に崩壊している事を示したり、極端な程の明暗によってその場の人物達の心情を強調したり等々の演出の数々が少し鼻についたことです。けれど、やはりもっと単純に、主要登場人物の誰にもに共感できなかったからだと思います。というか、この一家の全員に嫌悪感を持たせる作りになっていて。獄中結婚をした女性も、家族の面々からすればマシでも、明らかに変な人物ですし。勿論、映画は共感の為のデバイスではないとか、普通の生活では見れないこの世界の一面を見せてくれるのが映画とか色々ありますが、見れない一面が見たい一面とは限らないという当たり前の事を感じさせられました。