P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

「漱石の読書と鑑賞」佐藤春夫編著

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佐藤春夫による夏目漱石の手紙からの書評部分の抜き出しと、そこで評されている短編や小説の一部抜粋、そして芥川龍之介久米正雄から漱石への手紙などから構成される本。ただ、入っている短編や抜粋に関しては昭和初期に最初のこの本が出た時とは収録作が違うらしい。評されたり収録されている作品、つまり明治から大正くらいの日本の文学と分類されるような作品ってほぼ読んだ事がないし、はっきり言えばそういう作品には苦手意識しかない(なので芥川龍之介もほぼ読んだ事なかった)。なので夏目漱石に評されている作品も全く知らないものばかりだし、収録作も流石に「野菊の墓」(抜粋収録)とか作品名くらいは知ってるものはあったが読んだ事のあるものは全くなかった。なのだけど、読んでみたら良かった。気に入ったのは、寺田寅彦の「どんぐり」「嵐」、野上彌生子「七夕さま」、高浜虚子「大内旅館」*1、大塚楠緒子「そらだき」、それから芥川龍之介の「鼻」「芋粥」とかが良かった。
あと、芥川龍之介については漱石への手紙の中で

唯 ウェルスの短編だけは 軽蔑しました あんな俗小説家が声名があるのなら 英国の文壇よりも 日本の文壇の方が進歩していそうな気がします

とあったのだけど、この「ウェルス」はやはりH・G・ウェルズなんだろうか。これって芥川がSFを*2理解出来なかったということか(勿論、ほんとにつまらない作品を読んだだけかもしれないが)。

*1:読んでて導入が日常のミステリーぽい感じだけミステリーではないので、分かってはいても結末にちょっと物足りなさを感じたが

*2:手紙が書かれたのは大正だから、SFなんて言葉もまだない頃だけど。