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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

ロデリック:国際金融と経済成長

経済学 ダニー・ロデリック 金融 グローバライゼーション

はーい、本日のダニー・ロデリック第2弾です。なにしろ下のエントリーと余りにもセットになってる内容だったので、続けて訳してしまいました。さて、では寝ます。
国際金融と経済成長  ダニー・ロデリック 2008年11月19日

成長と開発についての委員会(Commission on Growth and Development)は、Maury Obstfeldによる開発途上国の成長における国際金融のインパクトについてのサーベイを公表した。下はそのアブストラクトの最初の部分だ。

数多くのクロス・セクション、パネル、そしてイベントスタディ(event studies)にも関わらず、発展途上国の経済厚生レベルと成長率に関して金融市場自由化が直接的な正のインパクトを持つとする説得的な文献は驚くほどに少ない。貿易自由化と成長についての文献を悩ませる問題と同様な計量経済学上の問題があるのだ。いや、国際金融においての方がその問題はさらに深刻だろう。そして金融自由化が、それにともなう経済制度や政策の改革を促進する事によって厚生を間接的に高めたというしっかりした証拠すらほとんど存在していない。だが同じ時期に、外国との資本取引の自由化は経済危機の頻度と深刻さを増したように思われる。にもかかわらず、発展途上国はさらなる金融自由化へ向けての動きを続けているのだ。

Obstfeldが指摘するパラドックスは重要なものだ。そして長年、私を悩ませてきた。「なかなか見つからない利益」と「いたるところ転がっている損害」にもかかわらず、なぜこんなにも多くの発展途上国が金融のグローバライゼーションを受け入れているのか?Obstfeldが気に入っている答えはこれだ:

妥当かと思われる説明は、金融の発展は成功裡の経済成長に付随し、貿易自由化を行った経済の発展する金融部門はいつまでも国境を越えた資金の流れから隔離しておく事は出来ない、というものだ。このサーベイは、金融のグローバル化を発展途上国にとって有益なものにするのに最上の政策の枠組みとは何かについて調べる為のものである。発展途上国が彼らの経済を国際的な資産取引について安全なものにする為に必要な改革は、彼らが経済の既得権益を抑えこみ経済の生産能力を開放するために実行しなければならない改革と同じものだ。

これは興味深い仮説だ。しかし私は最後の一文とは完全に同意できるとは思えない。現代のもっとも素晴らしい開発の成功例のいくつかは、政府補助の融資、金融分野の規制、開発目的銀行、そして統制された為替レート(subsidized credit, a certain dose of financial repression, development banking, and managed exchange rates)の下でなされた。これら全部が自由化ではなくコントロールされた金融を必要とする。韓国、台湾(この両者は1960年代と1970年代)、そしてとくに中国の例を見て欲しい。
別の説明は、主義と時代の精神だ。多国間組織、G7、そしてほとんどの経済学者は金融グローバライゼーションに非常に寛容だった。(それがいい事だという)証拠もないままに。政策担当者達と学会の主流は資本の流れを操作する事に敵対的であった。それゆえ各国政府は反逆者とみなされないようにする為に、その規範から離れる事を避けようとしてきたのだ。
さてこれは国際金融についてであったが、Crooked TimberのHenryも読んでみて欲しい。かれは主権国家に分割された世界での、世界金融のジレンマについて語っている。