P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

オバマのブッシュへの借り:ブッシュの名誉のために

2008年のオバマの勝利には、ブッシュの8年間の失政が大きく寄与したのは間違いないですが、それだけではなくブッシュはポジティウな面でもオバマの大統領就任を助けたとリベラルサイトTPMでオバマ支持者のRosenbergが述べています。要点はブッシュは個人的には人種差別などまったくない人間だったという事です(これはあれほど激しくブッシュ批判をしてきたクルーグマン認める点です)。パウエル・ライスの二人を国務長官としたブッシュは、アメリカ政治の中でオバマへとつながる道を築いたのだと。ブッシュといえばどうしても悪口ばかりになってしまうなか、こういう文章は珍しい(それも左からのものだし)ので、訳しておきます。
ジョージ・W・ブッシュは最初の黒人大統領当選はに大きく寄与した(いい意味で)  By M.J.Rosenberg

もし白人のアメリカ人が(続けて)二人の黒人アメリカ人の国務長官を持つことに慣れていなかったなら、アメリカはバラク・オバマを選んでいただろうか?そうは思えない。ブッシュ以前では、アフリカ系アメリカ人はある程度重要な、しかしトップではない外交関係の職に任命されていた。[ブッシュ政権では]二人の、(それも一人はかなりおかしなファーストネームを持った)アフリカ系アメリカ人が世界へのアメリカの顔として貢献したのだ。これがオバマの道をならしてきた。オバマがその後を追った足跡を刻んだのはタイガー・ウッズではない−−それはライスとパウエルなのだ。
実際、"W"には人種差別主義者の徴はまったくなかった。私が言っているのは彼の政策の事ではない。それらは穏やかに表現しても、高所得層以外のアフリカ系アメリカ人を助ける事はなかった。私が言っているのは昔っからの人種差別のことだ−−いや、我々のもっともリベラルな政治指導者からすら時には漏れる人種的中傷すらなかったのだ。
アラブ人やモスリムに関しても同じだ。グアンタナモの事を言っているわけではない。あれは本当に醜い政策だが、しかしそれは政策だ。だがブッシュは、9・11以降でも、反アラブやモスリムのステレオタイプを利用することはなかった。今年の共和党の選挙戦と違って、彼はテロリストとアラブ人の区別を明確に行った。彼はホワイトハウスとモスクの両方で、モスリムの祭日を祝ったはじめての大統領だ。もし彼がこういう事を行っていなかったなら、アラブ人やモスリムは人種差別による犯罪だけでなく、人種差別による政策にすら見舞われていたかもしれない。
よって、私は彼を評価するものだ。彼が昨日、オバマの当選は「素晴らしい事だ」といった時、彼は言葉をいいかげんに選んだわけではない。本気でそう言ったのだ。彼は自分がその当選を助けたと考えている。そして、実際に助けたのだ。