P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

お勧めは年上女性!

ちょっといまさらのネタではありますが、今年のバレンタインディも涙にくれたOkemosです。
さて、当ブログP.E.S.はその紹介にもありますように、政治、経済、SFネタの翻訳をやっておりますが、裏のテーマは婚活です...いや、90%くらい誇張が入ってますが、婚活とか考えなきゃとか思っているのは事実です。なのにも関わらず、はてブのランキングなどをみると、婚活での「うわー、女コエー!」なネタなどが時々ランクインしていまして、わが足を躊躇させます。
ところでアメリカの男女マッチングサイト(一応、出合い系って、ことになりますか)のOkCupidってのがあるんですが、ここがブログをやってまして、自分のところの会員のデータを使った分析を色々とやっています。その2月16日の分析が「男ども、年上に目を向けろ!(若くて綺麗な子なんてどうせ無理なんだから!)」というものでした。私は知的なお姉さま好きですので、ごもっともと思い、訳してみる事にしました。
あらかじめ書いておきますが、分析の結果はだいたい予想の範疇で、特に驚くような事はありません。ですが、前の教師についての翻訳の時も思いましたが、思いつきや自分の経験などではなく、ちゃんと数字をはじいて出してくるというのは、アメリカのいいところですね。
なお原文ではグラフが多く使われていますが、そのうちのいくつかはjavascriptを使ったインタラクティブなものです。残念ながらそれらはこちらでは再現できませんので、その画像だけを貼っています。データに興味のある方には、原文の方に行ってみるのをお勧めします。興味深いですよ。


お勧めは年上女性! 2010年2月16日 Christian

「俺より年上の女性がずっとメッセージを送ってくる。悪いけど、無駄だからね」 男性ユーザーからの最近のフィードバック

上のコメントは良くあるタイプのものだ。このように、デートを求める男性のおよそ3分の2を占める22歳から30歳までの男性は、ほぼ完全に自分よりも若い女性だけに目を向けている。今日はこの現象について調べてみよう。図なども一杯使って、楽しいものにするつもりだ。そして最後に、もうちょっと対象年齢層を引き上げてみたほうがいいよと、30代や40代の女性も対象にしてみた方がいいよという事をのべてみる。
さて以前もこのやり方でうまくいったので、細かい数字を持ち出す前にまず、この年齢層の写真を見せておこうと思う。下の写真は30代半ばから40代はじめの独身のユーザー何人かのもので、私のローカル・マッチ・サーチの最初の数ページからとったものだ。今日、これから何か彼女達について書くわけじゃ一切ないが、統計的な議論にもうちょっと人間味をつけておきたかったのだ。

基本背景デートの選好と年齢
歳が行くとともに、デートも劇的に変わっていくというのは秘密でもなんでもないことだ。下の図からわかるように、オンラインでデートの相手を求める人の数のピークは24歳で、30歳あたりまで急激に落ち込んでいき、そしてそれからは、残った独身者が相手を見つけるからか、それとも競争から身を引いていくからなのか、ゆっくりと減少していく。

OkCupidにおける独身の年齢分布 男女それぞれ10万人から

この棒グラフは女性の男性に対する比率の年齢ごとの変化を示している。ご覧になればわかるように、基本的にフラットだ。各年齢層ごとのデートを求める人たちの比率は相対的に安定している。より良い世界においてはこの事は、年齢のいった人達が良い相手を見つける事は若い人達よりも難しくはないはずという事を意味していることだろう。言い換えてみよう:45歳の女性は理屈の上では20歳の女性よりもデートの相手を見つけるのが難しくはないはずなのだ。女性の男性に対する比率は双方の年齢で同じなのだから(だいたい11:9)。
けれども勿論、45歳だとずっと難しくなる、という事は誰でも知っている。それは男性の若い女性への偏向がデート相手のプールをゆがめるからだ。OKCupidにおいて男性の年齢への選好がどうなっているかをみてほしい。

男性のデート相手の選好の年齢による変化横軸は男性の年齢、縦軸は女性の年齢

お分かりの様に、男性は歳がいくと相対的により若い女性を探そうとする。しかし、年齢の上限は自分の年齢よりわずかに上にとどまっている。たとえば31歳の中位*1の男性は、デート相手の対象年齢を22歳から35歳にしている。自分より年下へは9歳、しかし年上にはたった4歳だ。この偏ったマインドセットは年齢とともにさらに悪化していく。42歳の中位の男性は15歳年下まで大丈夫だが、しかし年上は3歳までしか受け容れないのだ。
若い女性への男性のバイアスは、表明されている年齢への選好と実際にメッセージを送る対象を重ねてみるとよりはっきりする。
次のグラフはヒート・マップと呼ばれるものだ。これは年齢ごとのメッセージの頻度を表している。縦軸の年齢それぞれについて緑なほどメッセージの受け取りが多く、赤なほど少なく、黄色は平均である。

男性が本当にメッセージを送っている相手横軸はメッセージを送る男性の年齢、縦軸は受け取る女性の年齢

お分かりのように、男性はそもそも偏っているデート対象のプールのなかでもっとも若い女性に集中する傾向があり、そしてさらに、じつのところ彼らはかなりのエネルギーを表明された年齢下限よりもさらに若い女性を追いかける事に費やしている。プロフィールのページにおいて何を書いていようと、30歳の男性は同年齢の女性に対して費やすのと同じだけの時間を18や19の女の子へのメッセージの為に費やすのだ。一方、ほんの何歳か年上なだけの女性は大体において無視されてしまう。
下は女性について同様の図である。女性がデートの相手と年齢について男性とどれだけ異なっているかが判るだろう。

女性のデート相手の選好の年齢による変化横軸は女性の年齢、縦軸は男性の年齢

若い男の子(まだ学校に通っている男の子達?)とは関わりたがらないらしい20代初めから半ばまでの例外を除き、女性は適度に年下と、そして適度に年上の双方について感心するオープンさを示している。下のヒートマップに示されているように、女性の実際のメッセージの行動も、自分の年齢をほぼ中心にしている事(点線は「同一年齢」線)に注目してもらいたい。

女性がメッセージを送っている相手横軸は送り手の女性の年齢、縦軸は受けての男性の年齢

この第二の図はまた、男性には全然みられない独特の特徴をみせてもいる。20歳と29歳でののストライプに注目してもらいたい。これらの色の断絶は女性のデート・メンタリティの劇的な変化を示している:女性は20歳を過ぎるとずっと年上の男性にメッセージを送ってもいいんだと思うようになるようだ(図の上方において赤の色がいきなり薄れている)。29歳では、女性は年上の男性によりオープンになり、そしてさらに、年下の男性にメッセージを送るのを止めるようになる。典型的な28歳の女性は酒を飲めない年齢の男性*2に少ないながらもかなりの数のメッセージを送っている。典型的な29歳は事実上、まったく送らなくなる。
上のデータすべてをまとめてみよう。興味のある年齢層と性別ごとに人々を別けて、その数をまとめ、デートプールを動的に表したものだ。それの為のちょっとしたjavascriptウィジェットを作ってみた。

デート相手のプール 

(訳注:これはインタラクティブな動くグラフです。面白いので原文をあたってみてください。)

これのタイトルを切望の波にしようかと思った。スライダーを右にやると、真ん中あたりの年齢まで、デート可能年齢のプールは高まり、大波となり、そして消えてゆく。そんなメタファーはともかくとしても、カーブの下の領域を計算する事で(積分、うげ!)、各年齢/性別に関しての潜在的デート相手がどれほどいるかを評価できる。下の図はその計算結果を表している。それによると、女性は26歳までは男性よりも言い寄ってくる相手が多いことがわかる。しかしその後は、男性の方が同年齢の女性よりも潜在的なデートの相手は多くなるものが期待できる。グラフの端、48歳では、男性は女性のおよそ2倍も求められている。データで確認してみてくれ。
女性の望ましさは21歳でピークを迎える。皮肉にも、これは男性の「華」、つまりその望ましさが平均を超える年齢だ。平均の点線を追っていくと、31歳の女性はすでに「華の時期」を終えてしまっている事がわかるだろう。しかし男性がそうなるのは36歳になってからだ。すでに述べたように、26歳以降だと、男性は女性よりも潜在的なデート相手をより多く持っている。これは若年層での比率の劇的な反転になっている。若年層においては、女性の方がずっと追い求められているのだ。男性のデート相手の選好が若い女性に偏っているのに、女性の方は年齢について平等であるので、男性のピークは女性より後に来て、さらに望ましさの台地もより長くつづく。
さて、これが現在の状況というやつである。そしてこれからなぜ私がこれは変わった方がよいと考えるのかを論述してみたいと思う。このポストの次の三つのセクションでは、年上の女性の、セックスと人生についての態度は若い女性のそれと同じくらい良い、あるいはずっと良いものだという事を明らかにしていく。そしてできれば、より多くの男性に自分より年上な人へも目を向けてみることを納得させてみたいと思う。

若い男性がデートの為に目を向けるべき対象


証拠物件 Aセックス
太古の昔より、女性の30代半ばは「セクシャル・ピーク」だという様々な記事がCosmo*3のページを徘徊してきた。しかしそういった記事は大抵、何処かで行われたテストステロン/エストロゲン/プロゲステロンについての研究の引用からいきなり「セクシャル・ピーク」へとジャンプしてしまう−−もしそもそも何かのデータを引用しようとしたとしてだが。一方、私のほうは、自分の主張を女性が表明した選好に基づいて行う事ができる。

理想としては、どれくらいセックスをしたいですか?軸は年齢。赤いほど「週に一回」という答えの比率が高く、青いほど「一日一回」という比率が高い。
(訳注:これはインタラクティブなグラフで、年齢が行くほど青くなっていきます)

これはアメリカ人女性の全米各地での「年齢進行」で、上で見たものに似たヒートマップの正規化されたものだが、地域別に見れるようになっている。スライダーを動かす事で、歳がいくとセックスへの態度が肯定的になっていくのが分かる。
年齢とともによりセクシャルになるというこのパターンは、ほとんどどんな問いについても繰り返し見られる。さらにいくつかをSparklineのグラフ(訳注:下のグラフのようなもの)で見ていこう(上の地図同様、我々の10万人のサンプルセットから計算したものだ)。これらは一部の例にすぎないが、ボンデージについて訊こうがキスについて訊こうが、女性は30代においてもっともセクシャルである。

1番上の質問:セックスはあなたのお気に入りの活動ですか?2番目の質問:その場の勢いのセックスもOKですか?3番目の質問:他の女性を交えての3Pに興味がありますか?4番目の質問:オーラルセックスをするのは好きですか?

このポストの為のリサーチにおいて、私はセクシャル・ドミナンス(支配)についての興味深いデータに出くわした。若いほど男性は支配されたがっており、また一般的に歳がいっているほど女性はそうしたがっている。

女性への質問(赤):ベッドでは支配したいですか?男性への質問(青):ベッドでは支配されたいですか?

さらに身体的な制約がなくなることもあり*4、性的な二つの懸念について歳がいっているほど女性はより健全な態度をとっている。

避妊は道徳的に誤っているか?*5青いほど「イエス」の比率が高く、赤いほど「ノー」の比率が高い
(訳注:これもインタラクティブなグラフで、年齢が行くほど赤くなっていきます。)

どれくらい頻繁に性病の検査をしていますか?青いほど「とても頻繁に」の比率が高く、赤いほど「ほとんど/まったくしない」の比率が高い
(訳注:これまたインタラクティブなグラフで、年齢がいくほど青くなっていきます)

私の次のトピックはこの地図からダイレクトにつながっている。


証拠物件 B態度
年上の独身の女性については、一般に信じられている二つのステレオタイプがある:悲しみのズタ袋(ブリジット・ジョーンズ・バージョン)と

「クーガー」(セックス・アンド・ザ・シティーのサマンサ・バージョン)だが、

どちらもすべてのステレオタイプ同様、還元主義的であってバカバカしく、私はその両方を避けようとしてきた。実は、証拠物件Aで私がやったような、年上の女性の為の主張をそのセクシャリティがらみのことから始めることには抵抗を感じていた。それはクーガーの縄張りの境界にあるからだ。しかし、無視するには証拠はあまりにもはっきりしすぎていた。
しかし一方、30代独身女性のゼルウィガー*6バージョンについては何の根拠も発見できなかった。データは、彼女達がより歳の若い女性たちよりもずっとうまくやっている*7事を示している。たとえば:

最初の質問:あなたがどれくらい自分に充足していますか2番目の質問:人生において幸せですか

下のグラフの傾きはそんなに急ではないので肉眼でちゃんと見分けるのは難しいかもしれないが、30代の女性は歳の若い女性よりも幸せである確率が4.0%高い。そういう人と付き合った事のある人なら誰でも分かるとように、自己に充足していることと自信がある事はマッチングにおいてとても重要な要素だ。
下のグラフは同様のトレンドを見せているが、右端で急に降下している。

私の最良の日はこれからだ−−イエスの比率

何か非常に悲しい事が40歳の女性に起こるのか、あるいはものすごく素晴らしい何かが39歳に起こるのだろうか。それは分からないが。それから男性諸君、年上だからといって、女性はみんな誰も彼も結婚をあせっているとは限らない、という事も言っておきたい。

結婚しないと分かっている関係を続けることはOKですか


証拠物件C外見
述べておきたい事の最後は外見だ。というのは、男性が年上の女性とのデートについて心配するもっとも大きな理由がこれだと私は思うからだ。年下の女性たちは肉体的により魅力的だということについては疑いはない−−実際、多くの点で、美と若さは別けられないものである。だからこそ、雑誌で見かけるモデル達の大半は10代で、フェース・リフトのような若返りの整形手術がこれほどまでに人気なのだ。この事実から逃れる事はできないし、また隠すつもりもない。

横軸は女性の年齢、縦軸は魅力レーティング

しかし、データをいろいろみていくと、私はこのグラフが全体を捉え切れていないと感じるようになった。よってさらに深く調べていって、私は興味ぶかいある事を発見した。もしあなたが、そのほとんどはとても若いとても若い人達である、絶対的に綺麗な女性を取り出して別に分けてしまったら、そしてまた現実的に言ってあなたがデートをしようとはしないような人達(最悪の外見の女性達)も取り出してしまったら、残った人達の魅力は年齢とともには大して変化しないのだ。

一番上の緑の線は各年齢の上から10%のところの人の魅力レーティング、一番下の水色は下から10%の人の魅力のレーティング、真ん中の黄色はその他の人達の魅力のレーティング

言い換えると、とんでもなく綺麗な人やとんでもなくぶさいくな人を除いてしまえば、35歳の女性の平均は25歳の女性の平均とだいたい同じぐらいに綺麗だ、ということだ。勿論、若くて綺麗な中の一番綺麗な女性を除いてしまうというのは、年齢別の比較という点からすると随分な修正だ*8。しかし、同時にだ、ほとんど全部の男性にとって、一番綺麗な女性などそもそも手の届かない対象でしかないのだ。

受け取るメッセージの数と受けての魅力横軸は魅力のレーティング、縦軸は魅力のない人が受け取るメッセージの数を1としたメッセージ受け取り数、緑が女性で水色が男性

よって、実のところ、そんな彼女達は不可能とみなす方が正確である。実際、非現実的な男性の期待こそがこの記事を書かせる原因であった。彼らを正すためにできる事は全てやってあげたいと思っている。
読者の大半は多分、多くの35歳の女性が25歳の女性同様に魅力的だという考えを笑うだろうが、人生の中の重要な判断をする際に、おそらくあなたが考えないだろう社会的要因がいくつもあるのだ。中でももっとも重要なものがこれ:全国的にみて、30代はすでに結婚をしている可能性が高い。よって、30代女性の多くはその魅力の最大化する事をやめている可能性も高いのだ。故に、あなたが道ですれ違うような典型的な35歳の女性は、まだデートをしており外見に気を使っている独身の35歳とは違っているのだ。
ともかく、これで私の弁論は終わりである。結果は、あなたが判断する事だ。下は20代半ばと30代半ばの独身女性達で、全員、魅力のランキングで70%にいる。左右に並べてあるが、見分けがつかない場合の為に言っておくと、左側が30代だ。

勿論、あなた自身でサーチを行う事もできる。では、ここまで読んでくれてありがとう。

*1:統計において、何らかの基準で対象を並べた時に、全対象の半分が片側に、残りの半分がもう一方の片側にある対象。つまりど真ん中の対象。平均とは異なる。

*2:アメリカでの飲酒の合法年齢は州によって異なるが、21、22歳くらいからだったと思う。

*3:コスモポリタンの事だと思います。

*4:原文 "In addition their lack of physical inhibitions"。今ひとつ、意味が取れない。なので訳には自信なし。

*5:宗教の関係で、中絶や避妊を道徳的誤りだと考えるアメリカ人は多い。

*6:ブリジット・ジョーンズを演じた女優さん

*7:"way better adjusted"

*8:はてブでもid:narwhalさんが「詭弁」というタグをつけられたように、そして原著者自身もはっきり認めていますように、これは30代女性と20代女性の魅力を比べるということなら、詭弁あるいは歪曲とも言えることだと思います。証拠物件Cの1枚めのグラフがはっきり示しているように、30代女性の集団としての魅力は20代女性集団のそれより劣るわけですから。しかし、ここで原著者が強調しようとしている事は、集団全体を見た場合には、森を見て樹を見ずという感じで30代女性にも20代女性並に綺麗な人が多くいる事を見逃してしまうよという事、そしてそのあたりが大抵の男性にとっては現実的に期待できる上限だよという事です(と思います)。原著者は集団全体を見た場合のこともちゃんと触れた上で、望ましい部分集団の存在に目を向けさせようとしているわけですから、統計の使い方として悪質なものだとは、私はおもわないんですが...