P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

ポール・クルーグマンといえばいわずと知れた日本でも有名な経済学者で、2000年にはニューヨークタイムズのコラムニストにも選ばれている。NYTには経済問題担当のコラムニストとして選ばれたらしいが、選ばれてすぐに当時はまだ大統領候補だったブッシュの経済政策を批判し、さらに2001〜2003(4?)年ごろのアメリカの「暗黒時代」の中ではアメリカの著名人の中でほとんど唯一といっていいほどブッシュ批判を繰り返してていた。それゆえ、2004(5?)年以降、ブッシュ批判が一般化してからは一リベラル経済学者としてではなくリベラル派を代表する言論人とみなされるようになったのだけど、そのクルーグマンがこの2008年の大統領選で民主党支持者の一部から激しい非難やら中傷を受けている。具体的にはオバマ支持者達から。

NYTのコラムニスト達は選挙で誰を支持しているか表明してはいけないらしいのだけど、クルーグマンが3人の民主党候補の中で誰を支持しているかは彼のコラムを読めばはっきりしている、と思っていたのだが実はそうでもないようだ。俺はクルーグマンはジョン・エドワード支持だとずっと思っていた。クルーグマンはコラムで民主党候補者達の政策について何度も書いているが、そこではほぼ毎回、クルーグマンはエドワードの政策をヒラリー、オバマよりも高く評価していた。自身をリベラルと自己評価しているクルーグマンが3人の中でエドワードがもっともリベラルと評価している事を考えても、彼がエドワード支持なのは明らかだと思っていた。実際、エドワードが選挙戦から降りた時には、クルーグマンがエドワードのリベラルな政策が他の2人に及ぼした影響を高く評価したコラムを書いたほどだし。ところが実際は俺の意見は俺の意見でしなかったようで、オバマ支持の人達にはクルーグマンヒラリー・クリントン支持だと考えている人達がいるらしい。クルーグマンはオバマが3人の候補の中ではもっとも右だと結構批判的に評価してきたから彼らのクルーグマン批判は分からなくはないんだが、一体なぜ彼らがクルーグマンはヒラリー支持だと考えるのか全然わからない。しかしとにかくそう考える人達がいて、クルーグマンのブログによると彼らからクルーグマンは、息子がヒラリー陣営で働いている(実際にはクルーグマンに子供はいない)、1992年にクルーグマンはビル・クリントンの経済顧問だった(実際ビル・クリントンに顧問の候補として呼ばれたが意見が合わずに落とされた)、等の理由でヒラリー支持・オバマ批判をしていると批判されているそうだ。

クルーグマンが本当に支持しているのは誰なのか真実は知らないが、アメリカがようやくブッシュのくびきから逃れようかという時に、ブッシュをもっとも激しく批判した人が民主党支持者から批判されるというのは、内ゲバというのかなんと言うのか、なんとかならないものなのかなぁ。