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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

トランプノミクスは改革派保守の悪の双子

2016年アメリカ大統領選挙 ドナルド・トランプ

最近、翻訳はやらないのですが、ニューヨーク・タイムズの保守派コラムニスト、ロス・ドーサットのコラムを読んでたらなんか、「辛いなのだな、ジオンも」と思ったのでなんとなく訳してみた次第。
追記:訳中の「ドナークラス」とは、大口献金者、つまり共和党の金持ちスポンサー達の事です。
 
 
「トランプノミクスは改革派保守の悪の双子」 2016年8月10日

ドナルド・トランプよりずっと前から、共和党に問題がある事は明らかだった。その中心となる経済アジェンダ、つまり減税、自由貿易規制緩和、そして巨大な連邦政府を縮小させるという約束は、自党の有権者の多くを含む多数のアメリカ人から、自分達の問題とはかけ離れていて、金持ちへ偏り過ぎているとみられていた。

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「Love Trip」MVについて

AKB48

AKB48の2016年夏曲"Love Trip"のMVがフルで公開されています。このMV、良いです。

この曲は日本テレビの「時をかける少女」の主題歌であり、そのアニソンっぽい曲調自体結構好きでしたが、テレビでの初見時にそのダンスでもって更に気に入りました*1。そしてそのMVがフルで公開されて、今のところ非常に気に入っています。最初に観た時は夜中だったのですが、そのまま3回ほど続けて観てしまいました。今年のアイドルのMVとしては、リリスクのスマホ用MV "Run and Run"

RUN and RUN / lyrical school 【MV for Smartphone】
、そして欅坂46の「サイレント・マジョリティ」のMV

欅坂46 サイレントマジョリティ
が話題になりましたが*2、このLove TripのMVはこれら並みに優れているのじゃないかと思います。ただそれぞれ方向性が違っていて、Lyrical Schoolのは技術の進歩に合わせたMVのみせかたの新しいアイデアであり、欅はアニメ的なカッコよさ。対してこの"Love Trip"のMVはまさにタイトルにある愛に満ちた(ような)優しい世界を巧みな演出と編集で作り出した点です。


【MV full】 LOVE TRIP / AKB48[公式]

ぶっちゃけ、このMVはほんとうにLove Tripという曲の為のMVになっているのか、ちょっと疑問なんですが、一つの映像作品としてとてもよく出来ているのではないでしょうか。なのでAKBヲタとして応援の為の記事を書きたいと思っていたのですが、どうにも筆不精で指がタイプへの消極的徴兵拒否をしていたところに次のようなブログ記事を発見、申し訳ないのですがこの記事を補助ロケットとして利用させていただいてこの応援記事を書こうと思った次第です。

at-home.hatenablog.jp

このブログ記事は、

「LOVE TRIP」のMVはAKB48史上トップクラスの失敗作である、と思う

と主張しています。上に述べている通り、私の感想は全くの真逆です。勿論、作品の感想は人それぞれであり、事実についての間違いがないのならば、それぞれの感想が間違っていたり正しかったりするわけではありません。なので、この記事は上記記事を批判する意図があるものではありません。単に、俺も語りたい!ってだけの事です。あるMVが良いか悪いかなんて、何度も書いてますが人それぞれなんだから。

さて具体的には、上記記事がLove TripのMVをダメだとする理由を3点挙げていますので、そのそれぞれについて私の感想を書いていきたいと思います。

*1:SKE48の夏曲「金の愛、銀の愛」もこのパターンでした。曲を最初に聞いた時は、松井珠理奈主演ホラードラマの主題歌という事情もあっての暗い曲調の為あまり気に入らなかったのですが、テレビでのダンス込みの初見時に、そのホラードラマの暗さを逆手にとってなのかのちょいキモ目のゆらゆらとした動きに心を掴まれてしまいました。ただ残念ながらMVは、少なくとも現在公開中のスペシャル・エディット・バージョンとやらについては、そのダンスがちゃんと映されないのでLove Tripと違って評価がガクッと落ちましたが。

*2:アイドルMVでないのでは、岡崎体育の「Music Video」も良かったですね。

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「葛城事件」 

映画評


映画『葛城事件』予告編

独善的・抑圧的な父親、自分の夫への嫌悪を隠して生きてきた弱気な母親、真面目ではあるが積極性に欠ける兄、通り魔連続殺傷事件を起こして死刑判決を受けた次男の一家と、その一家が崩壊後に死刑反対の思想のゆえに獄中結婚をしたという女性の物語。
映画評論家としても名をなしているラッパーのライムスター宇多丸さんが絶賛だったので観に行ってきたのですが、確かにレベルの高い良い作品でした。ですが、私には正直、全然でした。上の登場人物紹介からも予想がつくように嫌な気分にさせてくれる映画です。ですがたとえば同じ「嫌な」でも、こっちを取り込んでくれるかくれないかとがあります。例えば、ダンサー・イン・ザ・ダークだとか、ミストだとか、「嫌な」映画でもこっちを取り込んでしまう作品はあります。残念ながら、この「葛城事件」は私を取り込んではくれませんでした。
勿論、宇多丸さんを含めたいろんな方々の絶賛からして、私が取り込まれなかっただけではありますが、それはなぜなのか?
一つには、何度も出てくるコンビニ飯で家族が既に崩壊している事を示したり、極端な程の明暗によってその場の人物達の心情を強調したり等々の演出の数々が少し鼻についたことです。けれど、やはりもっと単純に、主要登場人物の誰にもに共感できなかったからだと思います。というか、この一家の全員に嫌悪感を持たせる作りになっていて。獄中結婚をした女性も、家族の面々からすればマシでも、明らかに変な人物ですし。勿論、映画は共感の為のデバイスではないとか、普通の生活では見れないこの世界の一面を見せてくれるのが映画とか色々ありますが、見れない一面が見たい一面とは限らないという当たり前の事を感じさせられました。

「消えたヤルタ密約緊急電」

読書

消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い (新潮選書)

消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い (新潮選書)

本屋の棚に積まれていたのが目についたので読んでみましたが、面白かったです。NHKで放送される「小百合さんの絵本」というドラマの原作になるそうな。
 
タイトルにあるのは1945年ヤルタでの、ドイツ降伏3ヶ月後にソ連が日本に対して参戦するという米英ソの間での密約。この情報を入手したのが、副題にある小野寺信ストックホルム日本大使館付陸軍武官。彼が日本の大本営にその情報を電信するも、どうにもその情報が大本営で握りつぶされたらしい。こんな重大な情報がなぜ、誰によって握りつぶされてしまったのかという謎の追求を縦糸にしたノンフィクションです。
 
この謎の背景にあったのが、いよいよ追いつめられ厳しくなっていく戦況の下、本土決戦、一億玉砕を叫ぶ軍部の裏で、軍や大本営、政治家のトップの間にあった和平工作を進めようという動きでした。さらにそのその際に最低限の条件として、「国体護持」、つまり天皇制の存続を求めていたこと。これを実現する為に、彼らは一応まだ日本と中立条約を結んでおり(45年4月にはその破棄を通告されるわけですが)、かつアメリカに対してもある程度の交渉力をもっているソ連にその仲介が期待していたわけです。この本の主張は、そういう期待、あるいは願望を持つ彼らにとって、少なくともその中枢にいた人物にとって、ソ連が対日参戦を固めていた事は都合が悪く、受け入れたくない事だったというものです。願望に合わせて情報を取捨選択したのであると。
 
その人物の特定へと話は進んでいくわけですが、しかしその結論へとストレートに進むのならば本文だけで450ページにもなりません。この件を縦糸にこの情報を入手した小野寺情報士官について、そして戦間期・戦時下での欧州での日本の情報収集や非合法工作についての様々な説明が続きます。それどころか中国での日本の工作やら、亡命ユダヤ人へ大量のビザを発給した事で有名な杉原千畝もまたスパイであったこと、その他諸々の事柄が解説されます。特に欧州での日本の諜報機関の工作とか全然知りませんでしたら非常に興味深かったです。そしてまた、戦時中の日本の情報関係というと日本の暗号が解読されてしまっていて云々などの「された」話のイメージが強かったのですが、こういう「していた」話はそういう被害者意識への中和剤として爽快感というか、バランスがとられた感じがありました。
 
とにかく色々と知らなかった情報が一杯で興味深くて面白い本だったのですが、最後に気になった事を。文中、きちんとした根拠を明示しないまま「...としても不思議ではない」とか「...はずはない」等々の断言が多い事が気になりました。こういう文章が続くとどうしても、著者の「願望に基づいた評価の取捨選択」が行われているのではないかとつい思っちゃいます。更に誰が「電信」を握りつぶしたのかの結論部分で、その人物がそれについての説明を他の作家への質問と回答という形でしめしているのはどうなのかと思いました。著者は自身の主張の補強としてこれを出しているのでしょうが、謎の解明の最後が著者ではない誰かからの回答ではこの大部の本のラストでなにかハシゴを外されたように感じてしまいます。ぶっちゃけこの本は、話の筋があちこちに揺れる、ものすごく分厚い新書の様な本という感想でした。なので正直、内容についてどの程度信用していいのだろうとも思ったりはしたのですが、同時にだからこそ読んでて楽しかった本でした。

ドナルド・トランプ、ローリング・ストーンズ:世界は無情であり、望みが叶う事はない...はず

2016年アメリカ大統領選挙 ドナルド・トランプ 共和党

トランプその副大統領候補としてインディアナ州のマーク・ペンス知事を選び全米へ向けて紹介しました。

www3.nhk.or.jp

このNHKの記事を読む限り、この紹介は大統領選の中でのごくありきたりの政治イベントの一つであった様に読めますが、エズラ・クレインのこの記事によると、実はこの紹介はトランプですらいつの間にか当たり前の様に思えてきている昨今にトランプが新たに放り込んできた新鮮な驚きであり、トランプが大統領になるべきではないまた一つの理由なのだそうです。要するに、自分を補佐する候補という他者が主役であるはずの場でまた強烈にトランプのナルシーぶりが発揮されたという事です。
 

Donald Trump introduces Gov. Mike Pence as running mate
 
41分ある副大統領候補としてのマーク・ペンス紹介のイベントのビデオですが、そのうちマーク・ペンスが話しているのが28分40秒くらいから40分40秒くらいまでの12分ほど。残りの30分程の時間のうち約28分間、ドナルド・トランプ自分の事を喋りまくります。
 
マーク・ペンスを紹介する為のトランプのスピーチのはずなのですが、いかにヒラリー・クリントンが悪人かの大説教。マーク・ペンスの名前は時々出てくるのですが、そのたびにBrexitやらラディカル・イスラムについて自分がいかに聡明で正しかったかの話に脱線。ようやくマーク・ペンスについて語り始めだしたら、「彼を選んだのは、正直言って共和党の結束のため」とあんまりマーク・ペンス本人が嬉しいとは思えない事を口ばしったその口でそのまま、自分がいかに共和党エスタブリッシュメント層をぶちのめしたか、予備選ではブッシュは勿論、共和党の聖人と化しているロナルド・レーガンをも超える1400万票をいかに自分が得たかとか、とにかく良い悪いはともかく共和党エスタブリッシュメント層を更に怒らせるだけの事ばかり話し続けます。終盤、ついにマーク・ペンスについてその名前以上の情報を、エズラ・クラインが言うにはWikipediaを読み上げているように話しだしても、マーク・ペンスが知事を務めるインディアナ州は何かのランキングで中西部で1位とか、別の何かのランキングで2位だとか、なんというかイマイチインパクトに欠けるような事を語りだす...とか思ってたらインディアナ州のインフラがランキング一位に選ばれたという話から、自分のワシントンDCのホテルが如何に予算内で出来上がっていて素晴らしいかを話しだす始末!大統領選で自分のビジネスの宣伝!
 
そして28分間のいかに自分が凄いかというトランプの話の後、ようやくマーク・ペンス本人が登場すると、自分の補佐としての彼を紹介する為の彼が主役であり、かつトランプとマーク・ペンスの間の良好な関係を見せる為のイベントなのにマーク・ペンスの隣で立っていたりせずに、さっさと舞台から去ってしまう...自分の話以外には興味ないんだろうしね。うん、すげーよ、トランプ、あんたほんとのナルシーだよ!
 
というトランプがいかに通常の政治の作法に縛られていない、彼自身がよく述べているアウトサイダーであるかを証明するイベントだったわけです。なんというか、

消して譲れないぜ この美学
ナニモノにも媚びず 己を磨く

の政治における体現者な気がしますが、このイベントが始まるまで会場で流されていたのはT-Boyイズム、ではなくて、ローリング・ストーンズの曲だったそうです。その曲とは、邦題「無情の世界」こと"You Can't Always Get What You Want"(望みが常に叶うわけじゃない)...
 

The Rolling Stones - You Can't Always Get What You Want (Live) - OFFICIAL
 
実はトランプはマーク・ペンスの選択に不満があるそうなのですが、この曲のチョイスがその事以上の予言でありますように...(って書いてるこの望みが叶わない未来もあるかもしれないですが。)

「ヒメアノ~ル」

映画評

前にも書きましたが、この映画を観て改めて思いました:日本映画面白いですよ!

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事前情報はあまり無しに、古谷実原作というのとこのポスターの「めんどくさいから殺していい?」というキャッチコピーだけで、イヤ~な作品なんだろうなというイメージを持って観に行ったのですが、そしたらほんとにイヤ~な映画でとても良かったです。
 
ほんとにロクに知らないまま観に行ったので、映画館内のスクリーン入口の小さなポスターを女の子がスマホで撮っているのを見かけて、あれ、なんで?とか疑問におもったりしたのですが、なんとポスターの茶髪さん*1がジャニーズのアイドルの森田剛さんなんですね。映画観ててもこの森田さんがほんとに荒んだオッサン感を出していて、アイドルとは全く見えませんでした。賞賛してます。すっごく。
 

『ヒメアノ~ル』予告編
 
主要登場人物は4人、あるいは6人といったところなんですが、なんとなくドヨ~ンと陰鬱な画面の中、その誰もが変なので、上に書いたように事前情報ろくに無し観に行った私は、あっきらかにヤバそうな茶髪の森田さんだけでなく他の登場人物も一体いつ何をやりだすか知れたものじゃないと警戒してしまいましたので(ヒロインの女が実はヤバイ奴で!とかも想像していた)、まだ話が見えず、様々な可能性が広がっていた前半はほんとにヒリヒリしながら映画を観ていました。完全、個人的な事情による感想ですが、「知らない」ものを観に行く醍醐味でしたね。ですがたとえ原作を読んでいて話を知って観に行っていたとしても、色々見所のある映画だったと思います。その中でも特に完全予想外に見所だったのが、タイトルロールでした!タイトルロールでゾクゾクしたのなんて初めてな気がします。
 
後半は当たり前ですけど話が見えてきて、私の中でのヒリヒリ感が収まって行ったのですが、それでもその上でこの映画はこっちを驚かしてくれました。暴力描写です。観てて、これは韓国映画か!みたい暴力描写を積み重ねていくのですよ。いや、素晴らしいです。前に評を書いた「アイ・アム・ア・ヒーロー」も凄かったですが、あっちは暴力というよりもカラッとしたアクションシーンなのに対して、こっちは(主に)弱者への陰惨な暴力。そういう暴力を執拗にアイドルが演じて描くのは大したものです。しかも、ラストのラストは湿っぽくなりますが、途中は陰惨でありつつも乾いている...暴力だけでなく小さな嘘を平気でつく事で、茶髪の森田はポスターの述べる「2通りの人間」の此方側でない人間で有ることを細かく見せていきます。 
 
最近の作品で壊れた陰惨な暴力、というかポスターに書かれている「捕食者と被食者」を描いたものとしては、「凶悪」がありましたが、あっちがショッボイ「正義批判」でもって作品を下らなくしていたのとは違い、こちらは誰が悪いとか誰のせいだとかは関係なく(いや勿論、原因を作り出したような悪い奴はいるわけですが)、そうなってしまった存在との共存がもはや出来無い事を見せつけている映画でした(ラストはちょっと違うけど)。

*1:映画の中で金髪とか呼ばれてましたが、せいぜい茶髪程度なので、ちょっとそれに違和感がありました。

テキサスは合衆国から脱退するか?(どうせしないけど)

アメリカ政治 共和党

史郎正宗原作の攻殻機動隊のシリーズにおいて、アメリカ合衆国は東西海岸諸州の米ロ連合、テキサスを含む南部諸州からなるアメリカ帝国、そしてその残りの地域からなるアメリカ合衆国三つに分裂します。そもそも19世紀アメリカの南北戦争は奴隷問題をもとにした南部諸州の合衆国からの脱退による合衆国の分裂を阻止して統合を維持する為に共和党のリンカーンが戦ったものですが、南部での民主党と共和党のポジションがひっくり返った21世紀のアメリカでは、テキサス共和党が党の公約として合衆国からの脱退をあと少しで掲げていたかもしれない状態になってます。こちらの記事によると党大会で採択の討議にかけられる党の公約の一つとして、脱退のための州民投票の提案がギリギリで公約案として選ばれなかったそうです。
 
ja.scribd.com
 
その代わりに採用されたのが、

  • 内国歳入庁や、教育省や、エネルギー省や、商務省やら、アルコール・たばこ・火器取締局その他、官庁の廃止 (これにともない累進課税相続税等々も廃止)
  • 生物の起源や環境変化について、すべての学説の客観的かつ平等な扱い*1
  • LGBTの否定:ゲイはセラピー行き、トイレだロッカーだは生物学的特徴に基づいて利用

その他もろもろ。ついでにアメリカン・アイデンティティも強調してます。まあ、オバマが大統領になって以降、テキサス共和党はアメリカからの脱退をしょっちゅう持ち出してますが*2、それでも「アメリカ人」なわけですな。どうせ脱退なんてほんとにやるとは今のところ思いませんが、テキサスなので将来どんな事が起こるか起こらないかわかりません。なので本当にそうなったら、それはそれで面白いなぁー(棒)とは本気で思いますけれど。

*1:科学に「平等」はないだろと思いますが、目的は「客観的」でも「平等」でも「科学」でもないですからね。

*2:テキサスでの脱退運動自体はそれ以前からあるそうですが。