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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

日本と天災の経済学

地震 経済学

経済学は内部に様々な分野を含む巨大な学問ですが、その中には災害の経済学(Economic of Disaster)があるそうです。英エコノミスト誌のブログでその簡単なまとめがありましたので、訳してみました。なおラストで触れられているEconbrowserの記事、明日にでも訳します*1
もしタイポ・誤訳などがありましたら、いつもの様にコメント欄にお願いします。
追記:ssuguruさんから原文へのリンク忘れの指摘がありましたので、修正しました。ありがとうございました!

日本と天災の経済学 2011年3月16日

先週の巨大地震と引き続いた津波の後、日本は悲劇的な混乱の中にある。自然は残酷なほど予測できないもののようだが、しかし人間もまた残酷だ。悲劇が海外で起こるたびに、アメリカの論客達は財政政策と経済のファンダメンタルズについての代理論争を行なうための好機としてその復興の展望を利用してきた。なので、まるで機械仕掛けの様に、未開の連中*2が日本の災害からの潜在的な経済的利益について語り始めてボールをチューブを通してバケツに落ちると、一杯になったバケツから水が漏れてチューブを伝り小さな水車が回して小さな鐘を鳴し、驚いたリバータリアンの経済学教授割れた窓の誤謬(Youtube)について我々への解説をさせた。
さて、私は誤謬は本当に誤謬だと信じているし、日本がこの恐るべき破壊と大量死の時からどういうわけか利益をえるだろうという考えは馬鹿げていてかつムカムカするほど楽天的だと思う。しかし、実際のところ、これは我々についてのものではなく、この毎度の割れた窓パンチ&ジュディ・ショー*3のなかで役を演じる事に私は疲れてしまっている。もっとずっと適切で興味深いのは、魅力的で活発な、実証に基づいた災害に経済効果についての学術文献で、私は昨夜はこれを読みふけっていた。残念ながら、ニューヨークタイムズのBinyamin Appelbaumが私を出し抜いて、近年のいくつかの研究の短い概観を提供したが、それによると災害はGDPに長期的な影響を及ぼさないという。このDrake Bennettによる2008年のボストングローブの優れた記事はより包括的なまとめになっている。
もっとも大胆な主張、ウィスコンシン大学ホワイトウォーター校のMark Skidmoreと日本の名古屋市立大学の外谷英樹による2002年の論文でなされたものでは、ある種の災害はGDPを増加させる事ができるという。技術とインフラストラクチャーについてのアップグレードを強要し、経済活動のそれまで刷り込まれていたあり方の批判的な再検討を行なう好機を提供し、より高い生産性と、そしてついには成長における純増につながるのだと。彼らはこれがある種の天候に関連した災害について成立することを発見したが、しかし地質学的な災害についてはちがう。地質学的な大災害については彼らは持続的で、長期的なネガティブ効果を発見し、日本の地震と津波からはどんな良い面もありえなさそうだと示唆している。この論文の主張、これは災害からのボーナスの可能性のもっとも強力なものだが、これはその後の多くの研究の試金石である。
全体として、災害についての文献は災害の成長率への効果は条件しだいとしている。惨状に見舞われた制度が弱い、貧しい国は物質的なリソースと以前の状態へ戻る為の制度的余力を欠いているかもしれず、その場合、災害は深刻な負の長期的影響を持ちやすい(ハイチを考えてみよう)。予想されるように、高質の制度そして高いレベルの人的社会的資本の人口を持った豊かな国はより早く回復するし、失った資本ストックとインフラストラクチャーの改善に向けたリソースの知的な配分をもっとも行ないやすい(日本を考えてみよう)。しかし勿論、高スキルのとんでもない数の人々を亡くす災害からの回復は死者を新しい、単により高スキルのバージョンで置き換えることで実現されるという事にはならない。そして驚くことでもないが、災害の規模も重要である。人的経済的損失が大きければ、成長のトレンドに戻るのにはより長くかかる。
これまでのところ、Eduardo Cavallo、Ilan Noy、Sebastian GalianiそしてJuan Pantanoによる2010年の論文"Catastrophic Natural Disasters and Economic Growth"が、私が見つけた中ではベストのものだった。災害に襲われた多くの国々の実際の成長経路と、慎重に推定された災害が起こらなかった架空の場合の成長経路とを比べて著者達は、
>>ラディカルな政治的革命がその後に続いた大規模な天災においてだけ、長期に渡って続くネガティブな経済的効果が経済成長に見られた。非常に大規模な天災においても、所有権のシステムを含む経済システムを変更するような破壊的な政治的変更が後に続かなければ、経済成長への顕著な影響は見られない...
よって、我々は天災がラディカルな政治的革命を引き起こさないならば、経済成長に影響を及ぼさないと結論する。勿論、この結論は失われた命や時として非常に大規模になる再建のコストといった天災の直接的なコストを軽視するものではないが

*1:正直にいうとEconbrowserの記事の方を訳すべきでした...

*2:Ph.Dを持ってないとかいうことか、あるいは政治的傾向の違いを言いたいのか?

*3:[http://www.google.co.jp/images?q=Punch%20and%20Judy%20show&um=1&ie=UTF-8&source=og&sa=N&hl=ja&tab=wi&biw=1024&bih=649:title=パンチ&ジュディは伝統的な人形劇]。