P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

The Return of the Depression Economics

前にも書きましたようにクルーグマンの新刊、The Return of Depression Economics and the Crisis of 2008についてのディスカッションがTPMCafeで始まりました。これはTPMCafeでの、政治経済系の本の内容について著者と何人かの討論者で議論しようというもので、今週の対象がクルーグマンThe Return of Depression Economics and the Crisis of 2008なわけです。討論者は
ディーン・ベーカー(Dean Baker):the Center for Economic and Policy Researchの副所長(Co-director)で、Bucknell大学の助教授*1。経済系では結構有名なリベラルブロガーでもあります。
ブラッド・デロング(Brad DeLong):UCバークレーの教授、クリントン政権での財務省副長官補佐(Deputy Assistant Secretary of Treasury)。この人も経済系での有名なブロガーですね。
ロバート・ライシュ(Robert Reich):UCバークレーのGoldman School of Public Policyの教授で、1993年から1997年まで労働長官をされていた人です。ブロガーとしてはともかく、結構有名な人。ブロガーでもあります。
Dana Chasin:非営利組織OMB Watchの主席政策アドバイザー。
Jo-Ann Mort:ChangeCommunicationsという会社の設立者でCEO。
Randall Wray:ミズーリ大学カンサスシティ校の教授で、その大学のthe Center for Full Employment and Price Stabilityの研究ディレクター。
マーク・ソーマ(Mark Thoma):オレゴン大学の准教授。経済系の結構有名なブロガーじゃないでしょうか?
Susan Feiner: サザーン・メイン大学のeconomics and women's and gender Studiesの教授。
だそうで、かなり多い。正直なところ、TPMCafeのこの討論は参加者からの短いポストのやり取りですので、期待してたら拍子抜けって事もあるのですが、果たしてどうなりますか。これだけ集まったという事はやる気のある人達が結構いたということじゃないかと思いますから、今のところは期待してますが。すでにクルーグマンやデロングからのポストがありますが、今のところ一番興味を持ったのは、マーク・ソーマによる過去四半世紀の経済学者からの財政政策への期待の低さと金融政策への過剰な期待は間違いであったというポストかな。別に専門的な事は書いてないのですが、それでもこれはやはり経済学界内での潮流の変化を表しているのかな、と。クルーグマンも90年代中は間違いなく金融政策の威力を信じていた経済学者の一人だったと思うのですが、「2008年の危機」を前にその立場を変化させたと思います。80年代のドル、90年代の東アジア経済同様、クルーグマンは2000年代の経済学会内での金融政策・財政政策のバランスの変化を先読みしたことになるのかどうか、興味深いですね。

*1:Assistant Professor。「助教授」という言葉は使われない事になったらしいですが、じゃあAssistant Professorはなんと訳せばいいんでしょう。