P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

トイ・ストーリー4

今更ながらにようやく「トイ・ストーリー4」を鑑賞。CGの素晴らしさとか、話運びがどうこうとか、いまさら言うのも野暮なので触れません。

「トイ・ストーリー4」日本版予告
トイ・ストーリー」のシリーズは良く出来たシリーズであり、言うまでもなく面白いわけです。ですが、オモチャに知性を与えるだけでなく持ち主への愛情・忠誠心もまた当然であるかのようにオモチャに付与されているのがまるで主人への愛情に満ちた奴隷のような気色の悪い設定のようで、その為に喉に刺さった小骨に対するような苛立ちがずっと感じられていたのですが、4にしてようやくそれすらも抜かれてしまいました。

オモチャ達を主人公とするエンタメという作品である以上、おそらく子供達がメインの観客と想定されていたのでしょうし(実際、俺が観に行った劇場でも子供達が多かった)、そうなればオモチャ達がその持ち主である子供達を愛しているというのは自然でありまたそうすべき設定でしょう。でも、子供もいつかは大人になるわけで、そうなれば「愛」は当然のものではないし、まして意識あるものを愛で縛り付ける、隷属させるのは自然でもない事もいつかは分かるはずの事。ましてオモチャから持ち主への忠誠など。もちろん、この作品は愛の隷属からの脱出だけが唯一の「正解」だと主張しているのではないわけですが、たとえオモチャ達が持ち主を愛するのは自然であるとしてもそれだけがあり得るべき状態ではないという事を示しているのは素晴らしい事だと思います。

そして、キャラクターのそういう成長をエンタメ作品が示せるというのは、そのシリーズが長い期間に渡って人気を保ったから出来た事であるわけで、ほんと奇跡のような事ではないでしょうか。