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P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

ルーカス:まず不況対策を

The Economist's Viewにて、ドイツのシュピーゲルオンラインがノーベル経済学賞(いや、銀行賞でしたっけ?)受賞者による金融危機についてのコメントを載せていることが紹介されてました。たーしか、どっか別の雑誌でも同じような事をしてましたよね。メンバーを確認すると、スティグリッツとフェルプスが被ってますが、シュピーゲルには他に、ルーカス、サミュエルソン、そしてゲーム理論のゼルテン!のコメントがありますので、その3人のコメントを訳してみます。しかしルーカス、サミュエルソンはともかく、ゼルテンのコメントって珍しいよなと思いましたが(俺が知らないだけかも知れませんが)、ゼルテンってドイツ人なんですね。ドイツ人唯一のノーベル経済学賞受賞者という事なのだそうで、なるほど、と。
まず最初は、ロバート・ルーカスです。その後、ゼルテン、サミュエルソンと訳して行きます。(ちなみに、そのサイトに載ってる写真をみるとルーカス、なかなかかっこいいですね。うーむ、嫌いになりそうだ笑。)
不況がより緊急の問題だ  ロバート・E・ルーカス 2008年11月12日

金融危機の最中、物事は急速に変わっていく。住宅ブームとサブプライムローンはすでに古代の歴史となってしまった。
この状況のなかでの連銀の責任はより多くの通貨準備を供給する事であり、この点について彼らは良くやっている。準備総額は9月10日で470億ドル、10月8日には1800億ドル、そして10月22日には3290億ドルだったのだ。中央銀行、グッジョブ!である*1
だが、供給されたお金が使ってもらえずに仕舞いこまれて消費が落ち込むかもしれない事はどうなのか?これはある程度は間違いなく起こっている。しかし、いつでもより多くの準備を供給する事は可能なのだ。
インフレーションの事を心配しなくてもいいのだろうか?勿論しなければならない。
しかし今現在は、不況こそが緊急を要する問題だ。インフレが復活してきた時には、通貨準備を増やした時と同じく急速に減らしてしまえる。これは古典的な「最後の貸し手」状況であって、注意を(不況から)そらさない事が重要なのだ。
私は、それが今のアメリカの政策にとって最も大切な事だと考えている。もし連銀が現在の積極的な貸し出し政策を続けていけば、1982年のものよりひどい不況を避けられる可能性は高いだろう。現在時点で、これは望みうる最上のもののようだ。そして1930年代の再演よりは遥かにいい。
現在の問題が起こるのを許してしまった規制のあり方は改正されなければならない。しかしそれは今週中に出来る事ではないし、現下の危機に少しでも影響を与えられるほど早く行う事すら出来ないだろう。
解決を要する規制の問題は主に、大衆は債務不履行だとか「銀行の取り付け騒ぎ」だとかとは無縁かつ便利な交換の媒体が必要だ、ということだ。これを実現する一番いい方法は、政府保証の口座をもった競争的な銀行システムである。
しかしこれは、システム内の銀行の保持する資産が厳しく規制されていなければ上手く働かない。そしてもしそのような均衡が実現したとしても、そのシステムの外部にほんの少し危険だが、規制された銀行の口座よりは高い利子を支払う金融機関が存在することは可能だろう。一部の消費者と企業は魅力を感じて、そちらに資産を動かすだろう。しかしもし全てのものがそうしてしまえば、規制当局に守られるものはいなくなってしまう。1930年代に設計された規制の構造は60年の間、この問題をなんとか解決できるように思えたが、その後の60年には何か別のものが必要になるようだ。

*1:追記:「グッジョブ!である」はかなーり意訳ですよ。原文はもっと大人しかったのですが、なんとなく気分で...