P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

クルーグマン:なぜ大恐慌の事を語るのか

さて、現在の金融危機がらみでの大恐慌・ニューディールがらみの文章や言説がアメリカではいくつもいくつも書かれ語られているようです。その状況にうんざりしているらしく、一体そんな大昔の事が今の状況にどんな関係があるんだよ!と疑問に思う人もいるそうです(ま、そりゃそうですよね)。そういう意見にクルーグマンが答えてました。
なぜ大恐慌を語るのか  ポール・クルーグマン 2008年11月28日
ダニエル・グロスが大恐慌との類似性を語ることに反対している。

5時の影に包まれた労働者("workers with 5 o’clock shadows" ?)に、「兄弟、10セント恵んでくれないか?」と訊かれるわけではない。ちゃんとひげをそった金融機関のエグゼクティブ達が議員に、1000億ドル恵んでくれないかと訊いてくるのだ。

悪いが、彼は重要なところを見逃していると思う。我々が大恐慌との類似性について語っている理由は−−そして私がThe Return of Depression Economics(邦訳:世界大恐慌への警告)の新版を出す理由は−−政策効果の崩壊なのだ。特に、連銀の突然の無能−−利子率が実質ゼロであるためにもはや利子率を下げる事が出来なくなった事−−がまさに大恐慌とそっくりの点なのであり、そしてドラスティックな対応を必要とする理由なのだ。
さて、もし全てが上手くいけば、オバマの景気刺激策は最悪の事態を防いでくれるだろう。しかしそれは、我々が現在の危機は重要な点で大恐慌に本当に似ているという事を理解しているからこそ、そうする事ができるのだ。過去から学ぶ事のできる者にのみ、その再現を防ぐ望みがある。