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「スター・ウォーズはいかにして宇宙を征服したのか」

スター・ウォーズはいかにして宇宙を征服したのか

スター・ウォーズはいかにして宇宙を征服したのか

ナバホ族のファンの熱意で初めてナバホ語に吹き替えられたスターウォーズEP.4を、これまでスターウォーズを観たことがなかったナバホの老人が観るエピソードから始まる1000ページ弱の、スター・ウォーズ誕生前からEP7公開前までのスターウォーズを巡る物語。スターウォーズは既に現代社会の一般教養だが、この本はどうやってこの古いスペオペのお話がそこまで来たのかについての物語です。それがジョージ・ルーカスの個人史や、スターウォーズ制作のエピソード、ファンのリアクションなどを交互に交える事で語られていく。個人的にスターウォーズには全くハマっていないので、SWヲタにとってこの本の中のエピソードが周知のものなのか、目新しいものなのか全く分かりませんが、ルーカスについてのエピソードは私にはとても新鮮で驚きでした。いや、私が無知すぎたというだけなんだろうけど…ルーカスって実はできる奴だったんだ!知らんかった!

まあ、流石にルーカスの「アメリカン・グラフィティ」や「THX 1138」*1南カリフォルニア大学云々の事は知っていたのだから、ルーカスの凄さを予想する事は出来たはずではないかと今となると思うのだが、この本を読むまでそんな事には全く思い至りませんでした。なぜなら子供の頃から、スターウォーズはカッコ悪いなと思っていたから。例えばEP.4~6などは何度か観ていて美術は素晴らしいと思うのだけれど、アクションについては、何このテンポの悪さ、カッコ悪さ?、といつも疑問だった。この旧三部作制作・公開期間中にはガンダムの劇場版三部作も公開されているわけで、クラシカルなSF美術の面以外では断然ガンダムの方が良いし、面白い。そしてEP.1~3が更にそれに輪をかけました。金はかかってて美術は素晴らしいのに、なにこの鈍重なアクションは?、と。

という事で私の中ではルーカスは、子供の頃の思い出に(当時の)最新のSFXを組み込むことで一山当てた人、くらいの認識だったわけです。既に書いたが冷静に考えれば流石にそれは違うだろうとなりそうなものではあったのだけど、ルーカスの監督したスターウォーズ作がつまらなかったのだもの。じゃあなぜそんなツマラナイ作品を一応全作観ているのかというと、それは私がSFファンで、映画好きで、そして何よりもうすでにスターウォーズが一般教養であったから、特にEP.1~3についてはお勉強として観ておかなければという事があったわけです*2。これまでそういう思い込みにより過小評価をしておりましたこと、ジョージ・ルーカスさんに謝罪し、お詫びに今度、ハン・ロソを観てきましょうか。

*1:どっちも未鑑賞。

*2:ここまですっとスターウォーズを貶してきてますが、実はEP.7、8、そしてスピンオフのローグ・ワンは面白かったです。