P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

「完全なるチェックメイト」と「ストレイト・アウタ・コンプトン」

トビー・マグワイアには童貞がよく似合う by okemos

 

トビー・マグワイア主演 映画『完全なるチェックメイト』予告編

75年生まれで、既に結婚もして子供もいるトビー・マグワイアが童貞なわけはないのですが、歪みまくってる童貞の役*1がピッタリなトビー・マグワイアが主役かつ製作も務める「完全なるチェックメイト」を元日に観てきました。そして翌日、その対極にあるようなヤリチン集団の映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」も観てきました。
 

12/19(土)公開『ストレイト・アウタ・コンプトン 』予告編

*1:作中で童貞卒業しますけど。

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ドナルド・トランプ:4兆ドルの人類への大惨事

アイオワでの共和党予備選のある2月1日までもう一ヶ月半ほどになってしまいましたが、トランプは今だに共和党員の中で人気です。
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(12月18日のRealClearPoliticsの2016 Republican Presidential Nomination)

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デーモン・ナイト:In Search of Wonder

SF作家・批評家のデーモン・ナイトによるSF批評やエッセイをまとめた本の第三版(1996年)をキンドル化したものです(、多分)。

In Search of Wonder: Essays on Modern Science Fiction (English Edition)

In Search of Wonder: Essays on Modern Science Fiction (English Edition)

第一版は1956年、第二版が1967年で、第三版は1996年に出版。第一版は主に50年代前半のSF評をまとめたもので、第二版以降、そこに簡単な自伝や、デーモン・ナイトが主催者側にいたミルフォードやクラリオンのワークショップについてなど80年代(?)あたりまでの文章が追加されていっています。
少なくともSF界ではちょと有名な本だと思いますし*1、なによりも「黄金律」のデーモン・ナイトだから読んだわけです。黄金律は傑作だと思っているので、同様な感想を思てるかと思って読んでみたんですが、その結果の感想はちょっと微妙。
興味深くないわけではないのですが、面白いとは言いかねるというものでした。
 
もともと色んな媒体に発表された文章を集めたものなのですが、単に集めましたというだけじゃなくて、まとめて再構成しています。
まるで複数の短編をまとめて長編へと再構成した作品(スタージョンの「人間以上」とか、セイバーヘーゲンの「バーサーカー」とか)のようですが、残念ながら小説とは違って、発表された時と場所から切り離すことは、批評から何かを奪ってしまっているように感じます。
 
小説も批評も、どちらも現実世界について何かを語るために文章の中で独自の世界を築くものですが、しかし現実を再構成し仮想の現実を内部で作り出すことで間接的に現実を語る小説とは違い、現実との対話を直接取り扱う批評にとって、初出の情報自体も、少なくとも何十年も後に読むのならば、重要な情報であると思うのですが、それがはぎとられてしまっているのが勿体ないと感じます。というか、一章の中の、流れが続いている(ように再構成されている)文章の中で執筆年代が変わっていったりするように感じるのが、どうにも靴の中の小石のようで、歩みを止めるほどでなくてもどうにも気になって仕方なくなります。
 
本の最後に「何章の一部は何という雑誌の何号に最初に掲載されました」云々というのが一杯書かれてますが、それじゃ明らかに不十分です。そんなことをするより、各文章の頭にちゃんと初出の情報をのっけてほしい。60年もたってから当時出版されていたSF小説(現在まで残っていないものが多し)について書評をわざわざ読むのは、まさに「当時」を知りたいがゆえになのになぁ。

*1:少なくとも俺はかなり以前から知っていたという個人的な理由によりそう判断。

「神曲ができるまで」

井上ヨシマサというとAKB48グループの色々な曲の作・編曲を手掛けている作曲家さんですが、実は80年代から活躍していた方だったそうです。この本はその自伝です。

神曲ができるまで

神曲ができるまで


ハロウィン・ナイト STAFF Ver. / AKB48[公式] - YouTube
この「ハロウィン・ナイト スタッフversion」においてセンターで踊っておられるアフロの御仁でございます。

正直、買う気はなかったのですが、宣伝の為になのか出られていたラジオを聞いた翌日に本屋に行ったら見つけてしまったので、まあこれも縁かと買ってみました。1000円と安かったし。

自伝ですが、文章からするとおそらく口述筆記なのでしょう、たぶん。帯には秋元康の「井上ヨシマサは天才である」という言葉が書かれてます。秋元康は高校生の時にラジオの構成作家になりましたが、井上ヨシマサさんは中学生の時にアイドルジャズバンドの一員としてプロデビューをし、その後も高校中退して音楽で食っていく道を探って、二十歳そこそこの頃に作曲家の長者番付に入っていたそうで*1、天才かどうかはわかりませんが早熟の才人なんでしょう。で、その才人の自伝なのですが、秋元康と初めて仕事をしたのが1994年、28歳の時で、この150ページ無い短い本の46ページ目、約3分の1のところです。ここまでは全然、AKBに触れていないのですが、ここから3分の2ではどんどんAKBに触れていきます。その為、正直、この本のバランスが悪く感じられました。

勿論、私がこの本を買ったのは著者がAKBの作・編曲家であったからなので、AKBに触れてくれるのは良いのです。というか、一杯触れてくれたらいいのです。ですが、建前的にはこの本は自伝でありAKBについてではありません。なので大島優子の「泣きながら微笑んで」におけるエピソード*2とかもあったりはするのですが、これがそんなに深くはならないのです。AKBヲタ的には物足りない。なのにあまり一般知名度がないようなメンバーの名前が説明抜きで出てくるして、非ヲタの読者にとってはわかりにくい、というより置いてきぼり感もあるのではないかと思ってしまいました。一応、建前としては誰でもが対象なのに、実際には「ぶっちぇけ、AKBヲタですよね、皆さん」という感じの文章があったりするわけです。けれどでも、AKBヲタが本当に求める方向では書かれていない、なぜなら作曲家の自伝という建前だから。バランスが悪い。いや、現実的にはこの本を買う人の大半はAKBヲタでしょうから、それを前提にした文書は当然なんでしょうが、だとするならもうちょっと「AKBについて」であってくれたらいいに。バランスが悪い、あるいは狙いがニッチ過ぎて私が外れてしまっているだけかもしれませんが。このバランスの悪さ、あるいは何かずれている感はAKBがらみだと以前にもこの本で感じました。

AKB48とブラック企業 (イースト新書)

AKB48とブラック企業 (イースト新書)

タイトルからするとこれはAKBがブラック企業だと批判している本であると思われるかも知れませんが、実はそうではなく...AKBのメンバーの労働環境が厳しいという指摘はあったりするのですが、しかしAKBがブラック企業だと言っているどころか、ブラック企業についての批判とAKBの昔の公演曲についての解説が混在し、辛い事があってもAKBの曲を聴いて励まされたりするとか語っていたりするという、何のためにこんな事をしたのかよく分からない非常に混乱させられる本なのです。ここ数年でAKBヲタになった私としては公演曲や昔のことを教えてくれた本でしたので良かったのですが、AKBに興味がなくてブラック企業についてだけ興味があった人達からすると非常にうっとうしい本だと思います。そしてまた、AKBについてだけ興味ある人達からすると、ブラック企業についての要らん文章が多いし。ブラック企業とAKB、売れそうなネタを二つを混ぜて本にしたらもっと売れるんじゃないだろうかという企画はわかるんですが、編集の方は中身についてこれで良いと思ってたんでしょうか?個人的には非常に楽しい本だったのですが。

*1:昔はそういうのが公表されていたんですなぁ。

*2:0048から入った私としてまして、まさに「優子さん!」なエピソードで良かったです。

なぜドナルド・トランプは人気なのか?

ドナルド・トランプについてのとある記事を読みまして、下の様なブクマツイートをしました。


すると私のツイートにしては珍しく非常に多いRTやお気に入りを受けましたので、その記事で書かれていたトランプの人気の理由について改めてブログで書いてみます。

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シリアルキラーはなぜ白人男性のイメージなのか?

一つ前のポストで、「シリアルキラーは白人男性(。・ω・。)ノ♡」というアメリカの神話は間違いだという受け売りをしました。okemos.hatenablog.com
しかしこの神話はアメリカだけでなく、日本にもあったりします。
それがなぜなのかについても前のポストで触れるつもりだったのに忘れてしまってたので、その事についての受け売りをこの別ポストで書いておきます。

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高橋朱里とムカデ人間とシリアルキラー、あるいはガチ恋になりかけてる気がしてヤバい

映画「ムカデ人間3」が8月22日(つまり今日)から公開されました。


映画『ムカデ人間3』予告編 - YouTube

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