P.E.S.

政治、経済、そしてScience Fiction

アセモグル、ロビンソン:アメリカの失敗

アメリカの失敗 アセモグル、ロビンソン 2012年4月23日

アセモグル、ロビンソン:収奪的成長

収奪的(Extractive)成長:マット・イグレジアスへの返答 アセモグル、ロビンソン、2012年4月10日 追記:「収奪的 Extractive」というのはアセモグルとロビンソンの本、Why Nations Failの中で説明されている概念ですが、この記事の中では特に説明されていま…

アセモグル、ロビンソン:「民主主義とその不満分子」

さてさて、アセモグルとロビンソンの「民主主義庇護」についてのブログ記事です。この二人は政治経済学者・政治学者で、民主主義と独裁についての理論モデルや実証を色々やってる人達です。たとえばこの本とか*1。彼らの現在のブログがその販促となっている…

アセモグル、ロビンソン: 「不平等とケインズ経済学」

クルーグマンと彼の妻のロビン・ウェルズがウォール街選挙運動から出てきたオキュパイ運動のハンドブック「オキュパイハンドブック」に文章を寄せました。同じく文章を寄せているアセモグルとロビンソンがこのクルーグマン/ウェルズの文章についてちょい批判…

アセモグル、ロビンソン:「法と強制では人の心を変えることはできない」か?

新著"Why Nations Fail"を出したアセモグルとロビンソンがおそらく販促の為に同名のブログを初めたのですが、結構な頻度で更新しています。アセモグルとロビンソンは政治経済学の分野で著名な経済学者/政治学者ですが、書いてる内容は理論偏重ではなくて読み…

タイラー・コーエン: 寿司とトレーニングの均衡

タイラー・コーエンが、ミシュラン三ツ星を持つ日本のお寿司屋さん「すきやばし次郎」についてのドキュメンタリー映画"Jiro Dreams of Sushi"を観たようで、それにインスパイヤされて寿司屋の修行への投資の均衡について語ってました。 まあ軽く書いてみたと…

アメリカの経済学者達による2011年を表すグラフ

BBCの集めたエコノミストによる2011年を表すグラフをhimaginaryさんが紹介していますが、アメリカの有名ブロガーのEzra Kleinがそれのアメリカ版として18人の経済学者、政策担当者、金融関係者から18枚のグラフを集めました。 なんか、楽しそうでしょ?笑 ま…

ジャパン、すげー!:世界各国の債務のグラフ

ここしばらくアメリカ政治ネタだったので、経済ネタを。というかグラフを。 マシュー・イグレジアス経由でTim Fernhorzが紹介している世界各国の債務と成長率の綺麗なグラフを知り、特に新しい情報があるわけではないのですが比較のグラフにされて改めて、お…

ギングリッチ:挫折から政治アントレプレナーへ

2012年のアメリカ大統領選に向けた共和党の大統領候補選出の為の予備選、一応本命はミット・ラムニーですが、その対抗が次々に浮かび上がってきては沈んでいっています:女性候補のミシェル・バックマン、テキサス州知事のリック・ペリー、黒人でピザチェー…

ミット・ラムニーは両党協調の夢をみるか?

またまたまたTPMから。 ミット・ラムニーの一万ドルの賭けの続報です。 民主・共和両党間での対立ばかりが目立つアメリカの政界ですが、たまには協調的行動も起こります。 ラムニーから1万ドルの賭けを申し込まれたリック・ペリー陣営は「1万ドルはアメリカ…

ミット・ラムニーの1万ドルの賭けと、民主党の高笑い

またまたTPMから。 2012年アメリカ大統領選挙へ向けての共和党中枢にとっての本命、元マサチューセッツ州知事ミット・ラムニーと、しばらく前までラムニーへの対抗馬として人気急上昇中だった(そして今はその立場をギングリッチに奪われてしまった)テキサ…

ギングリッチ:パレスチナ人は我々の発明です!

TPMによると、共和党の大統領候補として立候補して現在、支持が今日上昇中のニュート・ギングリッチがジューイッシュチャンネル("The Jewish Channel"、Jewishはユダヤの意味)で、以下の発言をしたそうです。 「思い出すべきなのは、国としてのパレスチナは…

我はアシモフ 55.科学論文

1994年に出版された"I.Asimov"からの翻訳です。今回は研究者にとってもっとも重要な論文執筆について(あるいは、執筆できないことについて)と、あとノンフィクションの執筆についてです。アシモフは多作で有名、さらには本人に著作数についての執着もあっ…

我はアシモフ 54. ボストン大学医学校

アシモフの"I.Asimov"から翻訳です。今回はアシモフが勤め始めたボストン大学医学校について。人間関係と、アシモフがダメ研究者だったという話です。 もし誤訳・タイポなどがあれば、いつものようにコメント欄にお願いします。追記:ssuguruさんから指摘を…

ヨーロッパにおける年齢の決定要因、あるいは耳毛と年齢の関係

opticalさんが訳されたハーフォートのブログポストで、GDPとペニスサイズの間には有意な関係があるという冗談論文が紹介されていました。これは社会科学において、統計の利用は単に技術だけの問題ではないということを主張するためのそれなりにまじめな論…

我はアシモフ:51.ようやく新しい仕事

もう一年半以上経ってますが、アシモフの自伝、というか回想録である"I.Asimov"からの翻訳です。今回は博士号を取得して大学院を卒業した後、職探しに苦労したけどようやく就職できたよ!という話です。アシモフせんせも若い内は結構苦労してます。 ちなみに…

英国暴動の件、あるいは隣の暴動は綺麗に見える事について

英国での暴動、俺は特に興味あるわけじゃないのですが、それでも正直、ついこないだの中東でのことについてはソーシャルメディアがどうこうとか持ち上げてたのに、今回は違うんですかとつい皮肉っぽくなってしまいます。*1 そんな時にたまたま下のアメリカの…

ユーロ危機についてのさらなるお勉強 (とってもガリ勉的)

昨日訳しましたイタリアの債務問題、というかユーロの危機についてのクルーグマンのブログポストの補足がでてましたので訳しておきました。 もし誤字脱字・訳し間違いなどがありましたら、コメント欄にお願いします。

自己成就的ユーロ危機?(ちょっと専門的) 

イタリアの債務危機問題についてのクルーグマンのブログポストを訳してみました。 もし誤字脱字・訳し間違いなどがありましたら、コメント欄にお願いします。

エリート大学の価値再考

いまさらなんですが、2月のデビッド・レオンハートの教育関係のブログエントリーを見つけたので訳して見ました。やっぱり教師なので、こういう話は興味があります。 いつものように、もし誤字・誤訳などがありましたらコメント欄にお願いします。

アメリカの構造的失業の再生と死

しばらく前に現在のアメリカの失業率の上昇は構造的失業率が上昇したからなのかについての議論があり、クルーグマンやデロングなどが構造的なものではなく循環的失業の上昇だと(ゆえに有効需要を高めるべきだ)と主張していましたが、この件についてある種…

クルーグマン:ギリシャのユーロ離脱

またまたちょっとお久しぶりです。最近の日本ではあまり耳にしなくなったような気もしますが、ヨーロッパの周辺国の金融危機はまだまだ続いているようです。クルーグマンがギリシャのユーロからの離脱について2本続けてエントリーを書いてましたので、その2…

スキル向上による平等促進のためのポスト人種戦略

少し前にクルーグマンの、賃金格差の問題はスキルだけを言っていても解決しないんだよというコラムを訳しましたが、そこでも書いたようにアメリカでは格差等の経済問題の解決策が求められる時、決まって言われるのがスキル、あるいは教育です。いろんな経済…

市場には扱えない危機 

今週一杯は時間があるので、日本がらみの経済学関連記事などを翻訳することにしたのですが、なかなかうまく良いものが見つかりません。なのでもろ経済学ではないですが、ニューヨークタイムズに載った原発危機と市場についての記事を訳すことにしました。そ…

日本の地震・津波のマクロ経済的影響

昨日のブログエントリーでも軽く触れたIlan Noyによる災害の経済学のまとめです。原発事故さえこれ以上悪化しなければ、日本経済の成長率についてのインパクトは長期的にはあまりない、という事になるのでしょうか。しかし、被災した現地への影響については…

日本と天災の経済学

経済学は内部に様々な分野を含む巨大な学問ですが、その中には災害の経済学(Economic of Disaster)があるそうです。英エコノミスト誌のブログでその簡単なまとめがありましたので、訳してみました。なおラストで触れられているEconbrowserの記事、明日にでも…

クルーグマン:メルトダウン経済学

東北地方太平洋沖地震発生から少し立ちましたが、皆様どのようにお過ごしでしょうか。 すいません、なにか間の抜けた事しか書けませんで。 正直、このブログなど小さなものなのですが、それでも読んでくださってた方は日本の各地にいらっしゃったし、今回の…

クルーグマン: 学位とドル

なにかid:optical_frogさんに後ろから睨まれたような気がしましたので、クルーグマンのコラムを訳す事にしました。教育問題と社会についてのコラムですが、アメリカでよくあるような教育の重要性を説くものでないのがクルーグマンらしいところです。なお文中…

ベスター:回想 5

長らくお待たせしましたが、って待っている人がいるのかどうか判りませんが、ベスターのエッセイ、My Affair with Science Fiction (redemolished掲載)の翻訳の5回目にして最終回です。一回目が8月3日にアップですから、これ一つ訳すのに4ヶ月かかってますね…

QE2について  グレッグ・マンキュー

このあいだ、連銀の量的緩和に反対する経済学者を含む保守派の人達による連銀への公開書簡(邦訳)が出されましたが、それに保守派の経済学者であるマンキューは署名をしませんでした。またそれ以外でもマンキューは特にQE2に触れていないので、たとえばクル…